第34話
お久しぶりです。投稿開いちゃいましたが、すんません。許してくださいなんでもしますから(何でもするとは言ってない
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「雨かぁ」
雨がしとしとと降っている。梅雨入りを感じさせる天気だ。
これから家へ帰るのだが、雨というのはめんどくさい。傘をさしたとしても、革靴が若干濡れるし、鞄も濡れる。よく、お前が好きだという人が居るが、俺にはその気持ちがよくわからない。
「んじゃ」
「おう」
星野が帰るようだ。どうやら星野も雨の時期には辟易としているようで、渋い顔をしながら教室を後にしていった。
さて、俺もうだうだ言ってないで、とっとと帰らねば。霧島はもう教室にはいなさそうなので、校門の近くで待っているのだろう。
「よいしょ」
今日は体育があったので、体操服も持って帰らないといけない。それと、教材一式も重いのだが、学校指定のカバンもかなりの重量だ。それをすべて担いで徒歩で帰るというのは、なかなか酷なものだ。
「ちょっとキミ」
とてつもなく重い鞄を担いで、とぼとぼ歩いていると、誰かから話しかけられた。急に話しかけられた俺は、割とびっくりしてしまった。
後ろを振り返ると、同学年と思わしき男が、俺の背後でニコニコとしていた。
「えっと、何か?」
「これって、キミだよね」
男の手には、スマホが握られていた。その画面には、先日星野に見せてもらった写真が表示されていた。
でも、なぜその写真に写っているのが俺だと分かったのか。ひとまず、適当にはぐらかしてみる。
「ちょっと何言ってるのか。というか俺、用事があるんで」
「おい」
しれーっとこの場から離脱しようとしたが、あえなく失敗に終わってしまった。この男、なにか良からぬことを企んでいると、俺の中の勘が警鐘を鳴らしている。
「ほう。まだしらばっくれるつもりか?」
「本当になんのつもりです?」
男は、ニヤニヤと気味の悪い笑顔を浮かべながら、俺の全身をじっと見渡している。そして、余裕がありげにスマホを操作し始めた。
「じゃあ、これは何かな」
男が見せてきたスマホの画面には、買い物袋を持って並んでいる、俺と霧島のツーショットがあった。
「なんでこんな画像があるんだ?盗撮じゃねぇか」
「盗撮?知ったことか。それより、お前と霧島さん、どういう関係だ?」
俺がツーショット写真に焦りを見せると、男は豹変したように、俺のことを問い詰めてきた。この男の豹変ぶりに、いささか身の危険を感じてしまう。
現在俺が居るところは、廊下の人通りの少ないところだ。しかも、階段を降りようとしたところで引き止められ、階段の裏側、すなわちほとんど人通りのない場所にいる。
「なぜ霧島との関係をあんたに言う必要がある?別に自由にやってていいだろ」
「は?お前何勝手に言ってるんだ」
「いや、あんたの言ってることがわからないけども。あんたこそ、霧島と関係があるのか?」
本当は男のことを刺激しない方が良いのかもしれないが、この男の身勝手な態度に、少し腹が立ってしまった。
「本当にお前うぜぇな。なんなん、まじで?」
「いや、逆ギレされても。というか、これ以上何もないのならここで」
無理矢理話を断ち切って俺はその場を後にした。結局、コイツが誰で、どんな素性なのかは分からなかったが、少なくとも霧島に固執している奴だということが分かった。
そして、俺に対しても明らかな敵意を持つ人物であることが分かった。あの眼光や、表情を見れば一目瞭然だ。
男が俺が去った後に、大きな舌打ちをしたのを俺は聞き逃さなかったが、ひとまず俺は帰ることにした。これ以上男に絡んだとして、絶対ロクなことにはならないのは目に見えている。
俺は現場から逃げるようにして、重い鞄を持っているにもかかわらず、驚くような速さで階段を降りていった。
「チッ。何だアイツ」
倉田に話しかけていた男は、薄暗い階段の陰で憎しみで顔を真っ赤にしていた。しかも、ズボンを引き裂かんとばかりに握りしめている。
「玲奈は俺のもの。なんでアイツなんかにくっ付いているんだ。アイツなんかただの陰キャで、何のとりえもないのに」
そうブツブツとつぶやきながら、男はスマホを操作して、とある相手に電話をかけた。
「もしもし。早く手を打て。もうアイツの住所は割れてるだろ?」
『しかし、警察とか、親会社からとか圧力がかかってまして』
電話相手は、怯えたような声で答えた。が、男は一切それを気に止めることはせず、一気にまくし立てた。
「いいから早くやれ。なんとしてでもやれ。分かったな!」
男は怒気を孕んだ声で電話相手に脅しをかけて、電話を切った。その声は、廊下中に響き渡ったのだが、あいにくと放課後とあり、その声が他の人に聞こえることは無かった。
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