第26話
一部修正しました(20/10/06)
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「ふわぁ~」
霧島の膝枕で、俺は昼寝してしまった。しかし、膝枕って普通緊張するものだと思うのだが、なんでか熟睡してしまったな。
晩ご飯の準備もしないといけないので、ここで惰眠をむさぼるわけにもいかない。そう思い、体を起こしたのだが。
「お~い霧島」
膝枕をしている張本人はぐっすりと寝ていた。というか膝に俺の頭を乗せながら寝れるって器用だなと俺は思う。
まぁ無理に起こす理由もないので、俺は霧島の体を持ち上げて、座っている状態から横に寝かせることにした。座って寝てると、よく首を痛めるからな(実体験)。
「よっこい...って軽すぎない?」
想像していた重さより、霧島ははるかに軽くてびっくりした。よくアニメとかで「女の子は軽い」とは言うが、本当だったんだな。あいにく、うちの妹はボディータッチは是としなかったからな。思春期だし、
「んん...」
寝ている霧島を横目に見ながら、俺は夕食の支度を始める。今日の夕食はカレーだ。冷蔵庫の中に具材があったのと、気分でこれにした。
カレーの作り方は人それぞれ違うと思うが、俺は特にそういったアレンジはない。箱の裏側に書いてある通りに作る人間だ。
「...わ、私寝てた?」
「まあそうだな」
今の時間はだいたい6時ぐらいだろうか。霧島の方もかなり眠かったのだろう。
「うーんと、これはカレー?」
「ご名答☆。...これ恥ずかしいな」
ネットで見たネタを実践してみたのだが、思ったより精神的なダメージがある。これっきりにしよう。
「まぁ浩司はそういうキャラじゃないしね。普段通りの浩司が一番いいよ」
「そうだな」
霧島が眠たそうに眼をこすりながら、キッチンにやってくる。寝起きだからか、霧島の髪は少しボサボサになっていた。
「あと30分もすれば、カレーが出来ると思うから、少し待っててくれ」
「はーい」
そう言って霧島はソファーに戻ったのだが、すぐさま戻ってくる。霧島の顔は、ひどく青ざめていた。
「ん?どうした?」
「これ。見て欲しい」
一体何事だと思い、霧島から手渡されたスマホの画面を見る。
「えっと。え?」
表示されていたのは、メールだった。俺はそのメールに目を通した後、愕然とした。
「それで、呼ぶ?」
「...分かった。一回話をしないとな」
メールの送り主は、なんと霧島のお父さんだった。内容としては、久しぶりに会いたいということと、実家の問題について話し合いたいということだった。
実家の問題というのは、間違いなく霧島に今取り巻いている問題のことだろう。霧島を襲っているのが義理の兄である以上、近縁の人物が関わってくるのも大体想像がつく。
「別に俺としてはいつ来ていただいてもかまわないが」
「うん...じゃあすぐ呼ぶ。多分浩司の家は警察の方から聞いているはずだし」
霧島は、スマホでメールの返信を打ち始めた。俺は、目の前の鍋を見て、カレーはお預けかなと思ったりした。
―――ピンポーン
玄関のインターホンが押された。いよいよ霧島の実の父親と対面することになる。万が一の場合を考えて、
俺は玄関のドアをのぞき込んで、
ドアの外に立っていたのはスーツ姿の40代ぐらいだろうか、それぐらいの男性一人のみだった。ひとまず危険はないと判断した俺は、ドアを開ける。
「どうも」
「初めまして。霧島 之康と申します」
「とりあえず中に入ってもらって」
今の対応を見る限り、普通の方だと思う。ひとまず、客人なので家の中へ入ってもらう。
「玲奈!元気にしていたか!」
「お父さん。久しぶり」
霧島のお父さんは、娘の姿を見るや否や、すごく大喜びしている。一方の霧島も、拒絶するような素振りもなく、肉親との久しぶりの再会を喜んでいるようだった。
「えーっと、倉田君。この度は娘を助けてくれて、そのありがとう。これ、僕の名刺です」
「これはどうも。とりあえず、ソファーにかけてもらって」
「失礼します」
俺に名刺が手渡される。そこには、とある株式会社のロゴと、代表取締役という肩書が書いてあった。残念ながら、この会社の存在は知らないが、こうしたキッチリとした名刺があるということは、それなりの規模を誇るのではないかと思う。
「代表取締役というと、社長ですか。それで霧島が襲われるのと、この会社とはどのような関係が?」
「これは最初から説明しないといけないと思うから、それも含めて最初から説明しますね」
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