第14話
トーストを食べ終わった後、早速勉強を教えてもらうことにした。答えが出なかったので一番最初から教えてもらう。
「えーと。まぁまずはxとyを出してみて」
とりあえず、与えられた分数を有理化して整数部分と小数部分を求める。これが、それぞれxとyだ。
出た。x=3でy=√2-1だ。
「出たね。じゃあzの値を求めようか。え~っと、z=x-1/yか。これは素直に代入してね」
はぁ。また有理化しなければ。分母に√が入っていると軽くめまいがする。
「じゃ、zも出たところで、次に何をすればいいかわかる?」
「え?zを(1)(2)に代入していくだけじゃないの?」
「うーん。この問題は、次数下げを使うんだよ。試しに2を移項してみて」
言われたとおりに移項する。すると、z-2=-√2となる。これを二乗するとz²-4z+4=2となった。
「で、右辺を左辺に移項するとz²=4z-2になるでしょ?これをそれぞれ代入していくの」
「そういう風にやるんっすねこれ。でもこれ単純にz²=(2-√2)²じゃダメなの?」
「それをすると、結局z²を代入しても√が出てきちゃうでしょ?この問題の本質は次数をどんどん下げて計算を簡単にするんだよ。
例えば、(2)のz⁴-5z³+4z²+6zなんて、普通にやったら軽く地獄だよ。一応、これ去年やったと思うけど」
そんなこと言われても、数学はマジで苦手だ。これならまだ英語とか現代文とかの方がマシ。
とりあえず、計算するか...
霧島先生のご指導はお昼ごろまで続いた。おかげさまで解法が分からなかった問題もかなり解けるようになった。ありがたや。
霧島は午後に何か用事があるようなので、お昼は各自でとることになった。霧島がどんな用事なのかは知らない。特に気にもならないしな。
なので、お昼ご飯は冷蔵庫の中にあったものを適当に食べた。朝ごはんが遅かったのもあり、そんなにがっつり食べる必要もなかったからだ。
「ただいま~」
そろそろ日も暮れてきて、晩ご飯の用意をし始めていたころ、霧島が帰宅した。
「ご飯はもうちょっと待ってな」
「うん!」
霧島は何かでかい紙袋を持っていた。どこかに買い物でも行ってきたのか?まぁいいや。
さて、今日の晩ご飯は豚の生姜焼きだ。シンプルイズベスト。もう肉に片栗粉を付けて冷蔵庫に入れてあるので、あとは焼くだけの状態だ。ちゃんとたれも用意している。
「ただいま!倉田君」
「おうおかえり。ごはんすぐでいいか?」
「いいよ~。何か手伝おうか?」
「じゃあご飯よそってくれる?」
手を洗ってきた霧島が手伝いに来てくれる。そういうことで、早速冷蔵庫に入れていた肉を焼いていく。まずはフライパンにサラダ油を敷いて強火で熱する。
「今日は豚の生姜焼き?」
「そうだよ。え?嫌い?」
「いやいやそんなわけないよ。倉田君の作るものってみんなおいしいから好きだよ」
「ど、どうも」
なんでだろうか。"好き"っていう単語にドキドキしてしまう。これは霧島が可愛いからそう思ってしまうのか、俺自身に何か思うところがあるのだろうか。
というか、家に霧島が居て、一緒にキッチンに立っているという状況がまず異常だ。ましてや特に付き合っているわけでもなく、この微妙な距離感だ。正直クラス中にバレるという可能性とかを考えてくると、胃が痛くなってくる。
「倉田君の料理教わりたいなぁ...って大丈夫?フライパン熱々だよ?」
「あっ、大丈夫大丈夫。そろそろ焼いていくね」
危ない。意識が完全に逸れていた。料理中に注意力散漫になるのは良くない。
豚肉を一枚ずつ並べてフライパンに入れていく。豚肉を入れた後は出来るだけ動かさない。なぜなら、豚肉にしっかりと焼目を付けたいからな。
すべて入れ終わったら、少し待つ。ちらっと肉をめくりながら焼き加減を随時確認する。いい感じだなと思ったら裏返していく。
俺の生姜焼きの好みは、しっかりとした焼き目の肉と肉汁を吸った玉ねぎである。シャキッとした玉ねぎもいいかもしれないが、玉ねぎはしなしなの方が俺は好みだ。
いい感じに両面の焼き色が付いたら、あらかじめくし切りにしてあった玉ねぎを投入する。
そして、さっと炒めた後にたれを入れて、肉とたれを絡ませながら炒める。
「すっごくおいしそうだね。匂いもおいしそう」
「お皿出してくれない?そろそろ完成するから」
「は~い」
いい感じに照りが付いたところで、生姜焼きをお皿によそっていく。今日の夕食はこれにて完成だ。霧島がすでにご飯とかをよそってくれているので、生姜焼きの皿を持っていくだけだ。ありがてぇ。
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文章中で数学の問題を出していますが、大衆的にはどうなんでしょうか。ご意見いただけたら幸いです。
一応青チ○ートを引っ張ってきて書いています。(問題は一部改変しています。多分著作権とかは大丈夫なはず。)
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