第11話
一部表現を修正しました。(20/08/04)
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結局、一回リビングに戻ってきた霧島にお風呂の場所と、ついでに我が家の設備を一通り説明することとなった。
その後、霧島をお風呂へと送り出した。
正直に言おう。霧島がお風呂に入っている姿を想像するのは、精神衛生上よろしくない。多分だが、シャワー音とかを聞いてしまったら胸の高揚が抑えられなくなる、気がする。知らんけど。
ということで、自身を自制するためにも、勉強に勤しむことにした。ゴールデンウイークなので、学校からたんまりと課題をもらっている。こういうところは進学校なんだなと思う。まぁ、来年は受験だし勉強を頑張っていかなければ。
「えーと。これの対称式は…」
さて、ただいま数学の問題に取り掛かっているのだが、俺のレベルでは教科書と問題集を交互に見ながら解かないと完全には解けない。公式も頑張って覚えてはいるのだが、どの場合にどの公式を用い例ばいいのかが、あまり分かっていない。数学の先生からはたびたびレクチャーを受けているが、まだまだ演習量が足りないということなのだろうか。
えっと、まずzの値を求めて、そのあとz⁴-5z³+4z²+6zで、前をz²でくくって、後ろを2zでくくる。ん?この計算、だるくね?
―――コンコンコン
「あ、はーい。なんか用?」
「く、倉田君。私、着る物がないんだけど」
扉の外から、霧島のか細い声が聞こえる。あ、そういえば、霧島は制服だった。そして、着替えとかも特に持っていなかったはずだ。学校のカバンしかもっていなかったはずだし、着替えがないことになんで気付かなかった、俺。
「えっと。霧島は今なんか着てるの?」
「...バスタオルを巻いてるだけなんだけど。は、恥ずかしいから何か着るものを貸して!」
やばい。何か着るものを渡さなければ。ひとまず、タンスの中を見てみよう。そう思い、タンスの中を探ってみる。
えーと。貸せそうなものは、Tシャツと長パン、ジャージぐらいだろう。
「なぁ、Tシャツと長パン、ジャージの内何が着たい?」
「え、ええ?とりあえずジャージで。うう...」
「分かった」
俺の持っているジャージは、合宿とかに持っていくやつだ。たまにしか使わないので、貸すのにもちょうどいい。サイズとかは多分大丈夫のはず。
「えっと。扉を少し開けてその間からジャージを出すから。その...」
「う、うん」
あかん。扉一枚挟んだ向こう側にバスタオル姿の美少女が立っているとなると、いくらなんでも緊張する。緊張しない奴は多分ホモだろう。もしくはよほど女の子に慣れているかのどっちかだ。
俺は扉のノブをゆっくりとひねって、そっと扉を引く。そして、その隙間からすっとジャージを差し込む。
そして差し込み終わった瞬間、扉を閉めた。
「あの、下着とかは無いから、それは許して」
「いいいいいや別にだだ大丈夫だよ。ありがとね」
霧島が去っていく足音がする。割と早足っぽいが、転ばないか心配だ。
てかめっちゃ動揺してますやん。俺も関西弁が出ているあたり、動揺しているんだが。
もしかしたら妹の下着とかが家に残っていたのかもしれないが、そんなことは分からないし、サイズも合うかどうか知らない。
「倉田君~?お風呂あがったよ」
「ほ~い」
ちょうど、大問が終わったのでいいタイミングだ。ノートを閉じ、筆箱の中に消しゴムとシャーペンを直す。
タンスからいつもの寝巻セットと下着を引っ張り出して、一階へと降りる。すると、ちょうど髪の毛をタオルで拭いている霧島に出会った。
霧島はお風呂上がりだからなのか、妙になまめかしい。しかも、少し袖が余っていて、なんだか興奮する。そして、霧島の誇る
「ちょっと...あまりじろじろ見ないでくれる?恥ずかしい」
「あ、ああごめんな。風呂入ってくるわ」
霧島が顔を赤らめて、視線を逸らしている。
どうやら、霧島のことを凝視していたみたいだ。だが、不可抗力ともいえよう。男子高校生にこの刺激は強い。
ちなみに、女子が着ている服の袖が余ってしまうことを、萌え袖というらしい。以前Twitterを見ているときに、TLでイラストが流れてきたことがあったが、まさか実際に見ることになるとは思いもしなかった。そのイラストにはいいねとRTをしたのを覚えている。
ちなみに、お風呂場に入った途端にいつもとは違ういい香りを感じてしまった。何を言っているかわからないかもしれないが、俺も何を言っているか分からなかった…
おかげで、ゆっくり浴槽に浸かることもできず、いつもより大分早くお風呂を出てしまったということだけ言っておく。こんなこと、妹の風呂の後でも感じなかったのになぁ...
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