4.失態

 やがて夜がやってきます。さすがに人々の姿もまばらになります。

 男の人は再び路地に身を投じました。ここでは公衆の面前で捕まったとしても、誰も助けてくれません。仮に優しい人がいたとしても、結局は警察が動かないので、何の意味もないのです。自分の身は自分で守る。それならば男の人は隠れやすい路地を選びました。

 無い知恵を絞ったのか、多少は知恵があったのかはわかりませんが、ごろつきも同じ考えだったのでしょう。路地に入った瞬間、先程の追っ手が姿を現しました。

「正面切って来るとか馬鹿……」

 男の人が真正面から駆けてくる追っ手に応戦しようとしたとき、その遥か後方になんと少女の姿を見つけてしまいました。どこをどう探したのかは知りませんが、少女は男の人にやっと追いついたようです。最悪のタイミングで。

 一瞬気を取られたときにはもう遅く、男の人は背後から頭を殴られる衝撃で、意識を失いました。

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