第10話 魔剣とヤンデレと騎士団と

俺は急いで王都へと戻る。

何せ王都には鍛冶ギルドというものがある。

まぁ。普通の店もあるのだが。ちなみに鍛治ギルドは色々な鍛治職人が集まる、冒険者で言うところの冒険者ギルド。それの鍛治職人版だ。

買取も行っており、多くの鍛治初心者が自分の実力を試す為にも使う事も多い。

あとはダンジョンでドロップした武器とかだろうか。素材は冒険者ギルドが買い取るからな。


「高く売れると良いんだけどな。まぁ。無名な奴の剣なんてたかが知れてるか。」

足りないかもなので俺が将来店を出すために貯めていた金を持ってきた。いや絶対売っただけじゃ足りない。


貯めた金も心もとなくて5000程。

生活費を削りつつ貯めていたのだからむしろ褒めて欲しい。


大体。剣というのは大体100~500位で1000もいけばかなり上等だ。

王都の有名な鍛治職人の作品だと10000程いくらしいが。それで5年は食っちゃ寝出来る。


まぁ。俺は無名というのもあるので魔法を付与していない剣の買取額は10~50と言ったところだろうか。

剣は冒険者達の旅のお供となるのだ。無名というのはやはりバットステータスとなる。


だが。俺の殆どが魔法を付与しているいわゆる魔剣と言うやつだ。

これならば全然価値が違ってくる。

一般的なのでも10000はすると言われており、高いものでは100000にもなるはず。

いやキモ。50年は食っちゃ寝出来るぞ。

まぁ。さっきも言った通り俺は無名なので買い手がつかない可能性が高いのでそんな高価に売れはしないだろう。


魔剣というのは危険性が高く、初心者が作ると魔法式と魔法陣が魔法反応という全く別の魔法になってしまう現象が起こるがよくある。

例えば爆発だとか魔法のセーフティが外れるとか。

一言に言ってしまえば危ない。その魔法式が悪ければ使用者を死に至らしめることも。

魔剣は心強い武器にもなれば自分をも巻き込む爆弾にもなるのだ。


その為大丈夫かどうかチェックをギルドで受けるのだが。

もし無事成功したのであれば初心者であろうとも多額で買取してくれるそうだ。


「村長のチェックは受けてるんだし。大丈夫だろ。」

思えばそんな事を呟いていた。

それが後悔になるとも知らずに。



_____________________

さぁ!やって来ました!王都!わずか15分での期間でございます!長官!


こんなふざけている場合でなくて。早くギルドに行かなければ。だが、この人混みの中。光速魔法なんて使ったら死ぬ(通行人が)


走っていくにも人が邪魔で中々前に進まない。


万事休すかっ…!いや。そうだった。転移しよ。転移。


「転移。」

そう呟くと俺は一瞬でその場から消え、鍛治ギルドにつく。


最初っから使っておけば良かった。失敗失敗。

俺の周りの人々は何だかごにょごにょと内緒話をしている。

ん?何だか外が騒がしいな。


と、思っていると。赤いド派手な甲冑を着た騎士達がゾロゾロとギルド内に入ってくる。

1番前にいた白い甲冑を身にまとった女の人が紙を前にバァン!と机に叩きつけ怒鳴り声を上げる。


「ここにテロリストが居る!これは逮捕状だ!」


えっと?どれどれ?闘技場の壁をいきなり壊したスコール・ガーライル?


もしかしてだけど俺氏?


急いで変装魔法を顔にかける。これでバレる心配はないだろう。


なんか騒いでる騎士団には目もくれず。俺は奥の装備売場へ行ってみる。

相場がどのくらいなのかを少し見てみようと思うのだ。


ん????なんじゃこりゃ。


全然なってない。何これ?いや、まぁ剣単体なら普通に1級品なのだが、魔法。こんなんついてなくても変わらんよ?

いやいや迅雷剣なんて大層な名前ついてるけどこれ少しだけビリビリするだけよ!?


これで23000!?高すぎるだろ。ぼったくりだよ!


確かに剣はいい剣だけども!


隣に華々しく飾られた甲冑を見てみるが、


魔攻冑?うわ!?40000!?

いやこれ魔法耐性ちょっとつくだけじゃん!?


ファイアーボールで火傷しなくなるだけだぞ!?これ?付与士で十分だぞ!?


これがジェネレーションギャップと言うやつなのだろうか?

それとも俺がおかしいだけか?


俺が作った剣なんて。


炎剣シュバルツは切った断面すぐに焼けるぞ?

そしてこれ、ついこの前料理で使ったら怒られました。ええはい。後悔はないです。


直ぐに火が通るんですよ。これ。焼き加減はバッチリ!ちょっとレアの俺とアリシア大好物のステーキすぐ出来る。


ブロック肉カットしただけでステーキ完成だぞ?これ。

剣に塩を塗ればちゃんと塩味するし、胡椒だってしっかりつく。

むしろこれステーキ焼くためだけに作ったと言っても過言ではない。


だってー。モンスターに使ったら傷口が焼けてすぐ塞がるぞ?全然出血でのダメージ与えられない。はいゴミー!これはステーキを焼く道具です!やっぱ売るの辞めます!


べ、別にやっぱりステーキ焼くのに使いたいから売らないなんて思ってないんだからね!


さてさて。ツンデレはここまでにして。


確か…この箱には水流剣滝壺もあったはず。


この剣の特徴というと少し水が出てきていて常時濡れているのだ。

それはこの剣の魔法にも関係していて、

俺はこの剣に液体操作という魔法をつけている。

まぁ。簡単に言うと液体を操れるって言うのと、生き物以外の液体になるものだったらなんでも液体に出来るっていう魔法だな。


なのでこの水で剣を長くしたり、途中で折れ曲がらせて、不規則な動きで攻撃。

岩なんて溶かして溶岩にして操り始めたら高熱の剣の完成だ。


っていう感じで作ってはみたんですけど。

ダメですね。なんかレベルが違うよ。ここの売り物と。

剣の練度はやっぱり売られている物の方が少しいいけれども、魔法はなぁ…

多重でかけないし、その魔法も弱いし、なんか違う。


あっ!?そうか!?もしかしたらここのコーナーは初心者専用とかそういうやつか!?

それなら分かる。わかりみが深い。


なんだぁ。勘違いかよいっけね!

ここなら誰でも買えるからな。

高ランク冒険者御用達の部屋とかあるんだろう。うっかり!


なら緑砕剣深林とか虹彩剣オーラでも大丈夫だな!


緑砕剣深林はなんでも壊せてなんでも再生しての剣。回数制限があるが。まぁ。魔力充填すれば使えるので。


虹彩剣オーラは太陽の光を集めて光の光線を出す。ちょっと異世界の漫画で見たやつに感化されて作ってみました。後悔はないです。

むしろ上手く作れたので良かった。

普段は黄色だが光を集め始めると虹色に光る。

野外ライブにピッタリだな!


ここ王都ではアイドルと言うやつがあり、

それにお金を貢ぐやつが多いらしい。野外ライブと言うやつを見てみたいものだがモカさんに殺されるので辞めます。


モカさん。アイドルには浮気しねぇよ…


遠くから女ってだけでダメなんだよと声が聞こえてきた気がした。怖い。


そう言えば。黒剣無明もあったな。

なんだっけか。忘れた。

なんでも吸い込む黒い穴を作れるとかじゃないっけ?

掃除に便利なんて物じゃないので売りません。

残念だったな!ハッ!


じゃあこれを売りますかー。

よっこらせっ。俺は木箱を持ち上げる。


さぁ!待ってろよ!ガイル!


トントンと肩を叩かれる。

「ちょっといいか?」


トントンと叩いた人は女らしく声が高い。

だがそれにしては肩を叩いた手が硬いような?

カチャカチャと音もする。これ。甲冑の音だな。


「なんですか?」

と後ろを向くとさっきの先頭の騎士と申し訳なさそうな顔をしているが少し殺気立っているモカ。てか騎士。お前よく見ると美人だな。

なんでこう美男美女が多いんですか?この世界。


?????????????????????


「お前。スコール・ガーライルだな?ちょっと騎士団本部まで来い。」


「な、何故分かった!?」

俺はいつもの俺とは違い薔薇が似合うイケメンになっていた筈なのに!?


「私がスコールを見つけられないわけないんだから!」

ふふんと胸を大きく張る。

やめなさい。モカ。ここの野郎どもがお前の胸凝視してるぞ。


「って何やっとん?お前?」


「あっ。ごめんなさい…

スコールを見つけたらガイルの変更金がタダになるって言うから…」


あー。まぁ。それならいいか。

って良くねえよ!と言いたいところだがタダに越したことはないのでいい!良くやった!


その代償に俺は今から牢屋に入るみたいだがな!HAHAHA!


手に拘束魔法がかけられ右手首と左手首がガッチャンコ。


「こっち来い。」


やめろォ!剣がァ!置いてっちゃうだろ!?


「だ、大丈夫!スコール!私が持っとくって

やめろ。そこの売女。スコールに触んな。」


その言葉に

「は、はぁ?い、意味がわからんのだが?」

困惑しているようだ。


だが、俺の牢獄入りは確定らしく馬車へと引きずられる。


Writeの次回作にご期待ください!(終わんないよ。まだまだ。)

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