第2話 俺。剣作ります。

王都に着いて早々

「ぷじゃけるなぁぁぁ!」

俺は叫んだ。あっ。噛んだ。


「噛んでるしww」

うるせえよ。ロリっ子。ってごめんなさい。

お願いだから呪文唱えないで!


「俺は剣が作れれば満足だったのに!」


「いや。ここでも作れますけど?」


それもそうですね。ええはい。

恥ずかしいんで故郷に帰ります。探さないでください。

俺がくるっと回れ右をして、超高速移動魔法を

使おうとすると、

「だから!私が養うから!」

モカが抱きついて離れない。

ええい!はなせぃ!ちょっ。力強っ。


「私の幼馴染がダメ男に引っかかりそうな件について。」


「「もう引っかかってんだよなぁ」」


誰がダメ男だ!


「鍛冶屋を開きたいとのことでしたら

モカさん達と一緒に学院にかようのはどうでしょうか?

鍛冶の勉強も出来ますよ?」


「俺ごときが入れませんって。

学院の看板に泥を塗りますよ?」

俺なんてカスだぜ?


「あんな装備が作れる時点でやばいんですが。」


そんな事はない。

だって村長が言っていた。

「お前の装備品は全然なっとらん!

調子に乗るな。これを心に止めておけ!」

つまり、俺はカス。Q.E.D.証明完了。


「じゃあ鍛冶部門で入学試験受けてみたらどうです?試験は簡単!自分の作った装備を見せるだけ!」


「そうだな。それがいい。」

大剣使いのガイルが珍しくも喋った。

知らない人がいるのに珍しってこの人知らないの俺だけかーい。


はぁとため息をこぼす。

「期待はするなよ?」


「うん!分かった!」

モカ。他の人見てる。抱きつくな。

顔が近い。やめい。


「そうですか!鍛冶場が必要ですよね?

ここに行ってください。しばらく使われていないのでそのままあげちゃいます。」


そう言って渡されたのは地図。


「いいんですか!?」

よしテンション上がってきたァ!


俺は音速移動の魔法を使う。

「ありがとうございましたァァァァァ…」


取り残された者たちは。

「「「早っ!」」」

あまりの速さに僧侶は腰を抜かしていた。

「ホント。なんなんだろうな。アイツ。」


「「「さぁ?」」」

_____________________

よしっ。着いた!


ここが俺の全て遠き理想郷(アヴァロン)か。

来たのは王都の学院から約5分(音速魔法で)の距離の古びた鍛冶場だ。


中々にいい工房だな。

俺が村にいた時に使っていた工房とは全然違う。

今なら納得のできる剣が作れるかもしれない。


と、その前に掃除か。

暴風結界と時間結界を張る。

暴風結界は結界内の空気を意のままに操ることの出来る魔法だ。埃を集めるのにピッタリな魔法だ。掃除の時には愛用している。


そして時間結界。時間結界は時間を操る。

こっちではここの設備を新品にしようと思った。


ただこれらの作業、すごく時間がかかるので、

倍速という魔法を使っていく。

これで5時間かかるはずの作業が15分で終わるようになるのだ。


「よし。終わったな。」

俺は思わず独り言をこぼす。


思ったより設備が充実していたのだ。

これは嬉しい。口角が上がるのを感じる。


あとは何を作るかなのだが…

そうだ。封印剣にしよう。

封印剣というのはその名の通り相手の技を一時的に封印することの出来る剣だ。


まぁ。普通のものを作っても理想にはまだまだ遠いのでアレンジはするつもりだが。


何かないかなと思い外に出る。


まず材料庫に行くか。

光速魔法を使おうと思う。。これはその名の通り高速で移動のできる魔法だ。

ちなみに1秒でこの星2週できるんだぜ。


よし。村に戻ろう。

そう思い、まず空を飛ぶため浮遊魔法を使う。

地上で光速魔法を使うと間違って山を消し飛ばしてしまったりするのだ。


慎重にっ、と。

光速魔法を展開し、体が光り始める。

発動!


空に流星が走る。


あっとゆう間に着きました。

村に。俺の故郷ライナ村だ。


「おお。帰ってきたのか?スコールよ。」

ヨボヨボのおじいさんが広場にいた。

珍しい黒色の髪だ。


「村長。材料取りに来たんですよ。」


「おお。そうなのか。時々顔を見せに来いよ?」


「ん。分かった。」

ちなみに俺の師匠でもある。

村長が作る装備は俺なんかよりも凄く、

色々な魔法も村長に教えて貰った。

家族同然の仲だ。


広場から俺の家へと歩く。

そもそも俺は捨て子なのだ。

村長曰く、広場に捨てられていたらしい。

家族は俺と同じく捨て子の義妹だけ。

義妹も13となり思春期真っ只中となってしまった。

家には帰ってこず、友達の家に泊まっているらしい。

ここの村は村人どうしの仲が良いから心配は無いが。


でもお兄ちゃん。悲しいです。喋ってくれても良くない?無視はないだろ。無視は。

昔はあんなにベタベタだったのにというテンプレ展開なのだが。ラブでコメな空気が察知されないのでその線は薄い。


異世界人の影響でここは漫画が普及されている。その中でも俺が好きなのがラブコメで義妹の展開が俺的には激アツだ。

現実でされたらそれはそれで困るんだけどな。


さてと。戻ってきました!我が家!

約30分位でのお戻りです!


ここで必要な物は1つ。

魔力鉄鉱という魔力で形、色が変わる鉄だ。

耐久力も申し分なく、その人に合った形に変わるので作るのには楽だ。

でも、俺はあまりこの鉄が好きじゃない。

自分の思った通りの剣が作る事が出来ないのだ。

この鉄は魔力の質や属性で出来るものも変わってくる。

中には凄い形が変わってしまう場合もある。

この鉄では自分の形にした剣を使って欲しいという俺の願いは叶えられない。


おっ。あったあった。魔力鉄鉱。

さて。ここからどうするのかなのだが。


まぁ。形だけでも作っておくか。

形や魔法付与位ならここでも出来る。


スタンダードなロングソードの形にする。

そのためには魔法鉄鉱を熱し、溶かさなければならない。


「獄炎。」

この魔法なら魔法鉄鉱だって溶かすことが出来るのだ。


そして形に流し込む。この作業を鋳造という。

それから固まらせる。


「絶対零度。」

この魔法なら瞬時にって、やべ。魔力入れすぎた。


ファイアーで温めつつ、次の行程へ移る。

鍛造だ。叩いて伸ばす。

形を少し小さく、太く作って置いてあるので、

好きなように伸ばすことが出来るのだ。


「倍速。っと。」

これで叩く速度を倍にする。


そうするとみるみる内に少しほそ長めのロングソードが作れた。


後は、封印と魔力吸収の魔法をかけるだけなんだが。味気ないよなぁ。


まぁ。もうかけておくか。

腕が光り始めその光が剣へ移っていく。


これは何回見ても飽きないな。


終わったか。

やばい。全然思いつかん。

気晴らしにブルードラゴンでも狩りに行くか。


今作ったロングソードを腰に下げ、手にはいつも使っている雷神剣という自作の剣を持つ。

その名の通り雷を操れる。刀身は少し短めだ。


まあ。疲れるけどめんどくさいな。良いか。

転移魔法を使用する。


行先はブルードラゴンの住んでいる極北の方へ行こう。


そう思って俺は転移魔法を使用した。


よし。着きましたっと。

て、やっぱり疲れるな。この魔法は。


でも様子がおかしい。ブルードラゴンが居ないのだ。前なら目止めが会った瞬間、触ったら死ぬ殺人ブレスを吐いてくるのだが。


魔力察知っと。

ってええ!?凄い大きい魔力反応がある。

だけどかなり弱ってるな。

そしてここから近いな。一応見てみようと思う。


森に入りその中には美しい青色をしたドラゴンがいた。

鱗はまるで氷のようだが硬そうだ。

牙など透き通っている。

目なんて空の色をそのまま移したみたいだ。

だが所々から血が出ており、何故意識があるのが不思議なくらいだ。


とやばいな。こっちに気づいたな。

完全気配遮断を使っておくべきだった。

「キサマハ人間ヵ。コロシテヤロウ。」


喋ったぁ!?そんな事は今まで無かった。


「どうか。ここは見逃してくれませんかね?!」

異世界の文化らしい。ジャパニーズ土下座だ。


「人間ハ我の子ヲウバッタ!

フクシュウダ!スベテノ人間をコロシツクス!」


ガァァァと雄叫びを上げる。

とその瞬間、ドラゴンが口から血を吹いた。


どしん。と巨体を地に落とす。

「ハーハー、ココマデナノカ?我のフクシュウハココマデナノカ?」

目が虚ろになっていく。

恐らくもう限界なのだろう。

言っていることも断片的で途切れ途切れだ。


あっ。いい事思いついたわ。


「なあ。お前も俺も死なない方法があるんだけど。聞きたい?」


「ナサケハイラン!「まあまあ。聞けよ。」」


手にしたのは封印剣。

「これでお前を封印すんだよ。一時的に剣と同化するけど治れば解放するし。いいんじゃんね?」


「ソンn「うるさーい。」」

俺は封印剣でドラゴンを刺した。

ドラゴンが光り、粒子になっていき、剣に合成されていく。剣の形は段々変わっていき、

鍔の部分があの龍の顎に変わっていく。

刀身は透き通った青色に。

持ち手の部分は鱗のようになっている。


「お前!巫山戯るな!」

剣が喋る。


「まあまあ。復讐は手伝ってやるからさ。

これでいいだろ?」


「しっかり解放はするのだろうな?」


「ああ。(多分)」

思った以上の出来で俺。ビックリ。

最高傑作かも。


「この氷星龍と恐れられた我にこのような仕打ち!ぶっ殺す!」


「おいおい。

氷星龍って言ったら、アヴォルフリードか?

なんであんな風になってんだよ。

7星龍で有名だろ?」


「騙されたのだ。人に。」

怒っているようで剣の周りが凍っていく。


「あー。まあ。それ以上は喋りたくなったら喋ってくれ。」


「聞かないのだな。」


「誰にだって聞かれたくない事くらいあるだろ。」

俺だってあの事は聞かれたくない。


「じゃあ王都に帰るか。」


アヴォルフリードも納得したようだ。

ちょろいな。へっ!


あっ。義妹にでも会ってから帰るか。

うん。そうしよう。


夕焼け空をバックに彼は帰るのだった。





そして舞台は変わり、どこかの地下研究施設。

「「「殺してやる!母さんを殺したお前らはァァ!」」」

怒りのままにブレスをする7匹の小龍がいた。


それを見ていた研究員達は。

「うるさい。黙って研究資料を提出しろ。」

手元のボタンを押した。


雷よりも強い電流が流れる。

「「「ヴぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」」


そしてアヴォルフリードに会ったこの日から、

第1章の物語が加速していく。


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