第118話 最後の大会。 ③
「春名陸。あなたは今回大会で頭書の成績を収められましたのでその栄誉を讃えます……おめでとう!!」
「ありがとうございます!!」
最後の大会が終わる間際に表彰式が行われた。
俺が立っているのは1番上。 目の前にはお偉いさんが立っていて、俺はその方から表彰状を貰い、メダルを首にかけてもらった。
首にかけられているメダルを見る。 キラキラ輝いていて、首にかかる重みが心地よかった。
「陸ー!! やったなぁ!!」
「陸先輩ー!! かっこいい!!」
「まじでやりやがったなお前!!」
首を上に動かすと、うちの陸上部の連中が嬉しそうに声をかけてくれた。 みんな笑顔だ。
それを見ると俺の涙腺が緩み、涙が出てきたので俺は急いで目を擦って誤魔化す。
泣いている姿を見られるのがなんだか気恥ずかしかった。
「それでは、表彰式をこれにて終了致します。 選手の皆さんはご退場ください」
俺達は表彰台から降りて、係員のお姉さんについて行く。
すると、後ろにいたソウが小声で話しかけてきた。
「くそっ……お前に負けちまった。 県大会ではリベンジしてやるからな」
「返り討ちにしてあげるよ。 そして、ソウに勝ち越してやる」
「言ったなお前」
「言ってやったぜ俺」
俺達はそんなことを話しながら、スタッフルームや受付などがあるフロアを通り、外に出る。
外に出るとみんなが俺のことを待ってくれていた。
「じゃあ、俺も自分の学校のところ戻るわ。 また県大会でな」
「うん。 県大会でまた会おう」
俺はソウと別れてみんながいるところへと向かう。
すると、みんながニヤニヤ笑いながら俺のことを見ていることに気づいた。
……?? どうしたんだろう?
「ただいまーみんなどうしたの?」
「いやぁ、陸先輩隅に置けないっすねぇ」
「かー!! 羨ましいなおい!!」
後輩がニヤニヤ笑いながら脇を突き、ツバサが俺の肩をポコッと殴る。
なんだなんだ??
「松田先輩どうぞどうぞ」
「ひゅ〜彼女のご登場だぁ!!」
女の子の後輩に押される形で、鈴がみんなの前に表れる。
鈴は恥ずかしさからか、顔が真っ赤になっていた。
あと、おちょくったチアキはあとで〆る。
「鈴……?? なんでここにいるの??」
「応援してるところチアキ君に見つかっちゃって……そこからはあれよあれよと陸上部のみんなに捕まって、私たちの関係がみんなにバレちゃいました……」
「陸先輩調子良いな〜って思ってたら、彼女ができてたんっすね!!」
「しかも、こんな可愛い彼女とか羨ましい〜!」
「恋人の力で1位になる……春名先輩かっこいい!!」
男女ともにみんなが俺に声を掛けてくる。
そして、俺の体をユウマが押し、鈴の体を女の子の後輩が押したことにより、俺達の距離はかなり近くなった。
「ひゅーひゅー!!」
「お似合いっすよ!!」
みんなが捲し立てるので、俺達は恥ずかしくなり、顔が赤くなる。
しかし、そこで暗い表情のアキラが話しかけてきた。
「羨ましい……羨ましいっすよ陸君!!」
アキラはガッと俺の肩を掴み、泣きそうな顔で俺のことを見る。
それに対して俺はお、おうとしか言えなかった。
「こんなに可愛い彼女がいて、応援してくれる……しかも、大会で1位とるなんてずるいっす!! かっこいいっすよ!!」
「お、おう!?」
「お、俺も彼女欲しいぃぃぃぃぃ!!!」
アキラは大粒の涙を目に浮かべる。
女性陣は苦笑いでアキラのことを見て、男性陣は大笑いをしていた。
「じゃあ、まずはアキラもっと陸上頑張ろうな」
ユウマが笑いながら肩をポンポンと叩く。
それに対してアキラはちくしょぉぉぉ!!と悔しがったのだった。
俺達はそれを見て笑う。
最高の仲間達、彼女に支えられ、俺は1位で県大会出場を決めたのだった。
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