第104話 模試を受けます。
「うーす。 お前ら全員揃ってるなぁ」
塾長が3年生だけを集めた部屋へと入ってくる。
手には沢山の問題用紙と解答用紙を持っていた。
今日は塾で中学3年生を対象とした模試をすることになっている。
いつものメンバーに加えて普段はあまり絡まない人や、他校の生徒もいるから結構な人数が模試を受けることになっている。
多分20人ぐらいこの部屋にいるな。
俺は辺りをグルッと見渡す。 いや〜それにしても3年生になったら一気に塾に通う人増えたよなぁ。
おっ、あいつここの塾に来たのか。 噂では来るかもって聞いていたけど、本当に来たんだな。
「おい春名。 キョロキョロするなよ」
「あ、すいません」
物珍しさから辺りを見渡していると、塾長に注意される。
隣に座っていたチアキに肘で脇腹を突かれた。
ごめんごめん。 もうしないって。
「さて、この中には学校や別の塾で模試を受けたことがある奴もいるかもしれないけど、一応説明させてもらうぞ」
塾長はそう言うと、大きなホワイトボードに文字を書き始める。
俺達はそれを真剣に見ていた。
「とりあえず今回の模試は一般入試を想定して5教科するぞ。 午前に国語、数学、社会の3教科をして、昼休憩を入れてから午後から理科と英語の2教科をするからな」
ホワイトボードに書かれているタイムスケジュールを見て思わず眉を顰めてしまう。
1日中するとは聞いていたけど、実際に目で見るとなかなかハードスケジュールだな。
「受ける高校によっては国語、数学、英語の3教科+面接だったりするけど、今日はとりあえずみんな5教科受けてもらうからな。 で、面接を希望する奴はまた後日に行うからな〜」
塾長の言葉を聞いて俺は考える。
俺はまだ推薦入試か一般入試で受けるかは決まっていない。
一応、うちの学校から□□高校への推薦枠はあるみたいだけど、数は少ない。
もしかしたら、俺よりも成績も授業態度なども良い奴が推薦枠を貰うかもしれないし、その逆で、俺よりも成績も授業態度なども良くないけど、なにかしらの理由で絶対□□高校に入学したいっていう熱意を持った生徒に、推薦枠を学校があげる可能性もなきにしもあらずだ。
俺はとりあえず一般入試を受けるっていう前提で、勉強した方が良さそうだな。
だって、推薦枠の予定だったけど、一般入試になった時の方が精神的にダメージデカそうだし。
…………でも、一般入試は嫌だなぁ。 5教科もしたくねぇよ。
「じゃあ、説明が終わったところで早速始めていくか。 まずは国語からやっていくぞ。 筆箱はカバンに収めて、携帯も電源とか切ってカバンに入れておけよ」
塾長の指示に従って俺達は準備をする。
そして、長い長い1日が始まったのだった。
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