第103話 みんな進路が決まってきたようです。

「お前らさ、進路決めたん?」


 ある日の学校での昼休み。 俺達はツバサの机の周りに集まっていた。


 ユウマがツバサの机に腰掛けながら話しかけてくる。


 それをツバサは嫌そうな顔で見ていた。 机に座られるのが嫌なようだ。


「俺は○✖︎高校に決めたわ。 で、お前は俺の机に座んな。 汚れるだろ」


「おおう。 すまんすまん。 それで、チアキは決まったのか?」


「ボクはツバサと同じで○✖︎高校に決めたよ。 やっぱり家から近いのは魅力的だよね」


「チアキは俺と同じか。 受かったらまたよろしくな」


「よろしく〜」


「陸は□□高校にしたって言ってたよな。 ユウマはどこか決まったのか?」


「オレは✳︎☆高校に決めたよ。 あそこは街中にあるし、学校の雰囲気が良かったからな」


 そういえばユウマ、他の友達と一緒に✳︎☆高校のオープンキャンパスに行ってたな。 


 きっとそれも決め手になったんだろうな。


「え、あんたも✳︎☆高校行くの? ウチと一緒じゃん!!」


「え、阿部もなのか!?」


 ツバサの隣の席に座っている、村上さんの近くにいた阿部さんが話に入ってくる。


 阿部さんは同じ高校を目指す友達がいて嬉しそうだ。


「いや〜あんまり✳︎☆高校に行くって人聞いてなかったから、友達が行くのは嬉しいよ!」


「そ、そうか。 ちなみに阿部は何で受けるんだ? 推薦? 一般?」


「ウチはテニスの特待生で入るよ!!」


「はぁ!? 阿部そんな強かったの!?」


「少なくともウチ、県内でトップ3に入るぐらいの実力はあるよ!!」


 阿部さんが胸を張って自慢気に話す。


 思わず視線が胸の方に行きそうになったけど、村上さんの隣にいた鈴が俺のことをジーと見ていたので、なんとか目線を逸らした。


「阿部さんって毎回大会で良い成績残すから、学校での集会でいつも校長先生に呼ばれるよね」


「いや〜それほどでもあるかな〜」


「見た目からは想像できないぐらい強いのよね……」


「ちょっと凛! それは失礼じゃない!?」


「アハハッ。 でも、テニスしてる時の光ってカッコいいよね!!」


「もう鈴、そんなに褒めたってなにもでないよぉ!」


 鈴が褒めると阿部さんはおもいっきり抱きしめた。 鈴も満更じゃない表情だ。


「✳︎☆高校ってスポーツ校だよな。 阿部とユウマにはピッタリかもな」


「そうかもしれないね」


「近藤はどこの高校か決めたのか?」


 ユウマが近藤さんに聞く。


 すると、近藤さんと村上さんは笑顔で顔を見合わせた。


 なんだなんだ?


「わたしは凛と一緒に△□女学院目指すよ」


 △□女学院って前に鈴が話していた女子校か。


「あそこ制服可愛いし、名門大学への進学率高いのよね」


「それに吹奏楽部も強豪だから、行かない理由はないかなぁ」


 近藤さんと村上さんは同じ高校か。


「それじゃあみんな進路は別れるけど、同じ高校に行く人がいる感じだね。 私と陸くんは□□高校。 ツバサ君とチアキ君が○✖︎高校。 凛と琴が△□女学院。 ユウマ君と光が✳︎☆高校かぁ」


「友達が1人でも同じ高校に行くなら、心強いよね」


「そうだな」


「高校に入ってもまたこの8人で集まれたら良いよねぇ」


「いけるでしょ」


「だって誰かしらに様子を聞いたら、把握してる人が1人はいるもんな」


「そう考えると怖ええな」


「確かにそうかも!!」


 俺達はそんなことを話しながら笑い合う。


 俺はみんなが希望している高校に入学することができたら良いなと、心の底から思った。

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