第94話 お家デートをしました。 ②

「このお菓子美味しいね〜どこに売ってたの?」


「あそこのスーパーだって母さんが言ってた」


「あそこのスーパーかぁ。 方向が逆だから滅多に行かないんだよねぇ」


「これ買う為に行けば?」


「これだけの為にあそこまでいくのは面倒くさいよ〜」


 俺達はお菓子を食べながらそんな話をする。


 さて、お家デートしたいって鈴が言ったから家に呼んだけど、これからどうしようか。


 そんなに俺の部屋に面白い物はない。


 どうすればいいんだろう?


「あ、陸くんこのゲーム機持ってたんだ! 私これで遊んだことないんだよね」


 鈴がそう言って指さすのは、テレビの横に置かれている最新のゲーム機だ。


 鈴はなんだかそれを見ながらソワソワしている。


 やりたいんだろうか?


「やりたいの?」


「うん! やってみたい!」


「OK! なら、準備するよ」


 俺は立ち上がってゲーム機をセットする。


 良かった。 どうしようかと思っていたから、これで少し安心だ。


「ソフト2つしかないけどどっちがやりたい?」


「どんなゲームなの?」


「パーティー系と格闘系かな」


「あ、私格闘系やりたい! その前のシリーズ結構やり込んだんだよね」


「お、なら腕には自信がある感じ?」


「まあまあかな。 陸くんは?


「俺はちょっとあるよ」


 ユウマ達と結構やっているけど、結構1位になる確率は高い。


 前のシリーズはやり込んだって鈴は言っているけど、今回のシリーズは初めてみたいだから勝てるはずだ。


「うわーこんなにキャラいるの!?」


「前のシリーズからキャラ2倍になってるんだって」


「そんなに!? でも、私がよく使っていたキャラクターがいて良かった〜」


 俺達はそんなことを話しながらキャラクターとステージを選ぶ。


 さて、起動するまでにある程度の操作方法とかは教えたけど、大丈夫かな?


「鈴、操作方法とか大丈夫?」


「大丈夫大丈夫! ちょっと変わっているけど、基本的なところはあんまり変わってないから問題ないと思う!」


「んじゃあ、始めようか」


「よし! 陸くんフルボッコにしてあげるよ!」


「それはこっちのセリフだよ!」


 時間制限はなし。 ライフは3つでゲームを始めた。


 俺は鳥のキャラクター、鈴は剣を持っている人間のキャラクターを操作する。


 最初は様子を見ていたけど、案外鈴が強い。


 前のシリーズをやり込んだと言っていた言葉が嘘じゃないことがよくわかった。


 でも、やっぱり俺の方がこのゲームをやっている時間は長いので、ライフを1つも落とさずに勝つことが出来た。


「あ、負けちゃった……」


「勝ったけど本当にやり込んでたことが分かる動きだったよ」


「くそ〜! 悔しい! 慣れたら行けそうな気がする! もう1回! もう1回しようよ!!」


「いいよ〜時間はいっぱいあるし、俺が胸を貸してあげよう!」


「あ〜その上から目線腹立つなぁ〜! 絶対ボコボコにして、陸くん泣かせてやるんだから!」


 鈴は意気込んで次のキャラクターを選択する。


 そして、俺達は格闘系ゲームを続けるのだった。

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