第85話 告白。

「おぉ……! 本当に少しずつ上に上がってるよ陸くん!」


「この上がっていく感じなんとも言えないよね」


「そうそう! 上がっていって興奮してるんだけど、やっぱしどこかには不安があるこの感じ。 なんとも言えないよね~!」


 俺達は観覧車に乗りながらそんなことを話す。


 今はこの狭い空間で2人っきり。 前後にはお客さんが乗っていないのは確認済みだ。


 俺の告白を誰かに見られる可能性はもうほとんどない。


 ここで決める。 


 観覧車が一番上に来た時、告白してやるんだ!


「うわぁ……見てよ陸くん! 視界が開けてきて、街がよく見えるようになってきたよ! 私たちが住んでいる街見えるかな? こっちかな?」


「うーん……多分こっち側だと思うよ? だってあっちに◇□橋あるもん」


「あ、本当だ! う~ん……私たちの家、やっぱり見えないかぁ」


「何十キロも離れてるから無理じゃない?」


「それもそっか。 ちぇ~残念」


 鈴は少し寂しそうな顔をしながら、窓の外を見ている。


 そんな鈴を俺は前から見ていると、観覧車はドンドン上に上がってきた。


「うわぁ……夕日、綺麗……!」


 鈴の言葉を聞いて横を向くと、大きな大きな夕日が出ていた。


 その温かいオレンジ色の夕日を見ていると、美しいと思うと同時に、少しだけ儚さで胸が締め付けられるのを感じた。


 俺は夕日を見た後、前にいる鈴を見る。


 夕日に照らされている鈴はいつもの可愛い小動物感は薄れ、どこか美しさを感じた。


 大きな真ん丸な目は目尻が下がり、顔は見ているこちらがほっとなるような優しい笑みを浮かべている。


 いつもの可愛い感じは薄れ、ただただ鈴を見て美しいと思った。


 そんな俺は無意識である言葉を呟いてしまう。


 そして、その呟きは鈴に思いっきり聞かれていた。


「——————————————綺麗だ」


「…………えっ?」


 鈴がビックリした顔をしながら俺の方を見る。 その顔さえも、美しいと思ってしまった。


「夕日に照らされている鈴がとっても綺麗だ……」


「え、そ、そう……? へへっ照れるなぁ」


 鈴は髪の毛をクルクル巻きながら照れる。 


 そんな鈴を見ながら、俺は自分の思いを話し始めるのだった。


「俺さ、鈴と友達になれてよかった。 一緒にいると楽しいし、元気が貰えるんだ」


「そ、そう?」


「脚を怪我してどん底に落ちた時も、救い上げてくれたのは鈴だった。 鈴がいなかったら今の俺はないよ」


「へへっ……そう言われると照れるなぁ」


「でも、俺はもう鈴とは友達でいたくないんだ」


「えっ…………!?」


 鈴は目を見開いて俺の顔を凝視する。 少しするとなにを言われるのか察したのか、徐々に顔が赤くなってきていた。


 それは俺も同じ。 きっと鈴と同じぐらい、いや、俺の方が顔が赤くなっているだろう。


 観覧車に誘う前はあんなにビビっていたのに、俺は思いを止めることができなかった。


「鈴の笑っている顔が好き。 鈴と話していると、心がポカポカするんだ」


「うん……うん……!!」


「鈴がいると元気になれる。 また会いたいって思うんだ」


「うん……うん…………!!」


 鈴の赤かった顔は少しずつ変わってきて、泣き顔になってきた。


 この泣き顔が嬉しさからだったら、俺は嬉しいな。


「ずっと俺の隣にいてほしい。 他の男に取られたくないんだ」


「うん……うん………………!!!」


 鈴は涙を流しながら、口元を両手で覆う。


 そんな鈴を見ながら、観覧車が一番上に来た時、俺は大好きな鈴に告白したのだった。











「————————鈴のことが大好きです! 俺と、付き合ってください!!!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る