第79話 同じ塾で隣の席の女の子の誕生日に、デートをします。 ②

「おお……でかい」


「実際に見ると凄いねぇ」


 俺たちの目の前には大きな入場ゲートと沢山の人達。


 少し視線を上に向ければ、ジェットコースターや欧州にありそうなお城が見えた。


 耳には楽しそうな老若男女の声が聞こえたり、噴水の音やパレードの音が聞こえてくる。


 まだ園内の中に入っていないのに、すでに心が踊っていた。


「ヤバいねこれ。 想像以上に凄いよ!」


「俺も久しぶりに来たけど、やっぱり凄いなぁ」


「人や建物も凄いけどさ、やっぱりこの人の多さは凄いよ! 日本にはこんなに人がいっぱいいるんだって!って思うぐらい凄いよ!」


「そうだね。 きっと県外の人もいっぱいいるんだろうなぁ」


「うーん! 来る前から楽しみだったけど、実際に見るともっと楽しみになったよ! 早く入りたいなー!!」


 鈴はその場で両手を胸の方に持ってきて、足踏みをする。


 揺れているスカートが、鈴の楽しみ!と言う気持ちを表現しているようだった。


「早く入りたいけど、やっぱりなかなか列進まないね」


「年間パスとか持ってないからしょうがないよ! さっきは早く入りたいって私言ったけど、気ままに待とっか」


「そうしよっか……あ、そういえば待っている間に暇を潰せるものがあるんだ。 それ見たりしながら時間潰そうよ」


「お、なになに見せてよ!」


「と言っても、使うのはスマホだけなんだけどね。 映画見たり、ゲームアプリでオセロやクイズしたりしようよ」


「おーいいねぇ! でも、そんなにスマホ使うと充電無くなるんじゃない? 大丈夫なの?」


「大丈夫だよ。 モバイルバッテリー持ってきてるから」


 俺はそう言うとカバンからモバイルバッテリーを2つ見せる。


 1つは自分のだけど、もう1つは父さんのだ。


「それなら大丈夫だね! 私ももしもの時用にモバイルバッテリー持ってきてるし、充電の心配はないね」


「そうだね」


「あ、私ゲームで協力プレイしたいのがあるの! 陸くんも□⭐︎っていうゲームやってたよね? 一緒にやろうよ!」


「確か今イベント中だったっけ?」


「そうなんだよ! あのキャラ絶対欲しいの!」


「気持ちわかるよ。 ぜひ協力させてもらうよ」


「やったー!!」


 俺達はスマホを使ってゲームをしたり、この遊園地のパンフレットを見ながら時間を潰した。


 途中ゲームの戦闘中に通信が切れたり、パンフレットが風で飛びそうになるというハプニングがあったけど、俺達は無事にチケットを買って遊園地の中へと入った。


 そして、待っている間に決めていたアトラクションの場所まで歩くのだった。

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