第80話 同じ塾で隣の席の女の子の誕生日に、デートをします。 ③

「よっしゃー! 遊ぶぞー!」


「おー!」


 遊園地に入って俺が声を掛けると、鈴が隣で小さく腕を上げながら真似してくれた。


 今は遊園地の玄関ゲート近くにある噴水のところに来ている。


 アトラクションへ向かう途中だったけど、多くの人が集まっていたから気になった。


 少し目を動かすと、この遊園地のキャラクターが多くの人と写真を撮っている。


 多くは若い女性のグループだったり、カップルだ。


 その人たちは、この遊園地のキャラクターと一緒に楽しそうに写真を撮っていた。


「あー! あのキャラクターってここに居るんだ! ねぇねぇ、アトラクション行く前に写真撮ろうよ」


 鈴が俺の服の袖を引っ張りながら誘ってくる。


 俺は少し行くのに躊躇しそうになったけど、鈴の為ならということで、写真待ちの長蛇の列へと並んだ。


 しかし、案外列の回転が早く、予想以上の早さでキャラクターと写真を撮ることができた。


 モフモフのキャラクターの両脇に行くと、グッと身体を引き寄せられる。


 手に伝わるモフモフが気持ちよくて、顔をくっつけたくなってしまった。


「さぁさぁ撮るよー! このスマホで撮ればいいんだよね?」


「お願いしまーす!」


 鈴のスマホを持っている係員のお兄さんが声を掛けてくる。


 普通に『ハイ、チーズ』で写真撮るのかと思ったけど、『ハイ、バター』と言われてなんか笑ってしまった。


「あの係員のお兄さん面白かったね」


「不意を突かれたよねー」


 俺達はスマホを受け取り、キャラクターにお礼を言ってからその場を離れた。


 歩き始めると後ろからお兄さんが『ハイ、ヨーグルト』と言っているのが聞こえた。


 あのお兄さん乳製品縛りでもしているのかな? 少し気になっちゃうよ。


「じゃあ、まずはあれから行こっか」


 俺達は歩いてあるアトラクションの列へと並ぶ。


 そのアトラクションは船に乗って、コースから出てくる怪物などをお客さん達が協力して銃を使って打ち倒すものだ。


「ちなみに陸くん自信はある?」


「鈴よりもたくさん怪物に弾を当てられる自信はなんとなくあるよ」


「ほほぉ……その根拠は?」


「特にない!」


「ないの!?」


 俺達は待ってアトラクションへと参加する。


 船に乗って安全装置を付けた後、銃を係員のお姉さんから渡された。


 本物の銃でないことは分かっているけど、どうしようもなくテンションが上がる。


 隣の鈴を見てみると、まだ意味がないのにずっとリロードする動きをしていた。


 分かる。 分かるよ鈴……! その動きしちゃうよな!


 俺が勝手に共感していると、周りが暗くなり、このアトラクションの物語が語られる。


 ほうほう……そういう世界観なのね。


 そんな感じで俺が感心していると、急に斜め前から怪物が現れる。


 キャーという甲高い声がたくさんしたと思うと、みんな容赦なく怪物に向かって銃を撃っていた。


「おりゃおりゃおりゃー!」


 隣の鈴もみんなに負けじと頑張る。


 俺も少し遅れたけどみんなに、鈴に負けないように必死で銃を撃ったのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る