中2の3学期

第69話 3学期が始まりました。 塾長に声を掛けられました。

「おーい春名と松田! ちょっと来いよー!」


 俺たちは塾が終わった後、塾長に話しかけられた。


 俺達は2人とも顔を見合わせて?マークを浮かべる。


 とりあえず、阿部さん達に一緒に帰れそうにないことを伝えて、俺たちは職員室へと入った。


 職員室へと入ると、先生達はリラックスモードに入っていた。


 コーヒーを片手に立って雑談をしている先生、最近できたカフェについて盛り上がっている先生、本を読んでいる先生など、各々自由に過ごしている。


 まあ、俺たちが時間で言ったら最後の授業を受ける生徒だからな。


 自習で残る生徒がいるとはいえ、通常時に比べると少しは気が楽になるのかもしれない。


 先生達お疲れ様でした。 今日もありがとうございました。


 俺は心の中で先生達にお礼を言って、塾長のところに向かう。


 向かうと北山先生も居た。 2人でなにかを話している。


 でも、雰囲気が朗らかな感じだからきっと悪い話ではないと思うんだけど……。


「なんでしょう?」


 俺が話しかけると塾長と北山先生が振り返る。


 俺達は塾長に促されて、近くにあるパイプ椅子へと座った。


「いや、なに、北山先生が旅行に行ったらしいから、お土産のお菓子をお前達に分けてやろうと思ってな!」


 塾長がそう言うと、北山先生が鞄からお菓子を取り出す。


 見た目がとても可愛らしくて、いかにも甘いですよ! 美味しいですよ!って感じのお菓子だった。


「先生達に配ったら、色々あってちょうど2個だけ余ったのよー! それで、生徒にもあげようかーって話になったんだけど、どうせなら私が授業を受け持っている2人にあげようと思ってね。 他の人には内緒よ?」


 北山先生は唇の前に人差し指を置きながら、悪戯っぽく笑う。


 俺はそんな北山先生を見てドキッとなったので、少し顔を逸らしながらお菓子を受け取った。


 へへ……美人女子大生の北山先生からお土産のお菓子貰っちゃった。


 ……へへ。


「陸くん?」


 鈴に呼ばれたので俺は鈴の方に顔を向ける。


 すると、満面の笑みを浮かべた鈴がいた。


 な、なんだ? 笑っている筈なのに妙な圧を感じる……!


「はっはっはっ! 青春だなぁ若人よ!」


「いや、どの辺が青春なんっすか塾長?」


「私も君らぐらいの年の頃なーーーー」


「いや、聞いてないんっすけど塾長!!」


 塾長は勝手に自分の青春時代の話を始める。


 俺と鈴は困り顔だ。


 そんな俺たちに顔を近づけて話しかけてきたのは北山先生だった。


「塾長あのモードになると話長いのよ……普段は気さくでとっても良い人なんだけどね……」


「どうすることもできないんっすか?」


「できないわねぇ……」


「じゃあ、私達このまま塾長の話聞かないといけないんですね……」


 俺たち3人は塾長の話を聞きながらお菓子を食べた。


 塾長の話は確かに面白いんだけど、頭を使って疲れた脳にはなかなか負担がかかるものだった。


 俺たちが解放されたのは授業が終わってから30分後。 塾長宛に電話が入ったことにより、話は終わったのだった。

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