第67話 同じ塾で隣の席の女の子を、初詣に誘います。
「いや、それは可笑しいでしょ!」
俺は思わずテレビに出ている芸能人にツッコミを入れてしまう。
蜜柑を剥いていた手は止まり、俺の意識はテレビへと向いていた。
今日は12月31日。 世間では大晦日と言われている日だ。
時刻は只今夜中の23時過ぎ。 今年も後1時間を切った。
「それにしても、今年は凄かったな〜」
俺は炬燵の中で体を縮こませながら呟く。
女友達が出来てその子のことを好きになる。
そして2.3回デートをする。
部活を真剣にやるようになって、怪我をして気持ちが沈む。
勉強を頑張るようになって平均点とかが上がる。
今年は今まで体験したことがない、予想外のことがいっぱいあったな。
「そんな今年ももう少しでおしまいか……」
でも、最後の方はいいことがあって良かった。
クリスマスイブには鈴とデートすることができたし、それ以降も無事部活に復帰して、順調に練習を重ねることができている。
スッキリした気持ちで新年を迎えることができそうだ。
「そういえば、鈴、初詣に行くって言ってたなぁ」
俺は数日前の鈴とのSNSのやり取りを思い出す。
1月1日は近藤さん達と初詣、1月2日はおばあちゃん家に行って、家族みんなで初詣に行くって言ってたな。
……1月3日はなんにも予定ないって言ってたな。
俺から初詣誘ってみようかな。
俺は初詣にあまり行ったことがない。 人が多いし、興味がなかったからだ。
でも、鈴とは初詣に行ってみたいと思った。
「なら、善は急げだ!」
俺は炬燵の上にあったスマホを取り、SNSを開いて連絡する。
内容は『1月3日に一緒に初詣に行かない?』だ。
俺は送信ボタンを押して少し待つ。
すると、直ぐに鈴から返信がきた。
『いいよー! 何時にどこ集合にする?』
『10時ぐらいに○○駅集合はどう?』
『いいよー!!」
『ちょっと遠くにある神社で初詣して、お昼ご飯食べようよ』
『お、いいね! 因みに神社ってどこ?』
『○○神社!』
『あそこね。 りょーかい!』
俺と鈴はSNSでやり取りをする。
すると、途中から見ている番組が一緒ということが分かったので、2人でそのテレビの感想会をしていた。
そして、その番組も終わり、テレビの中にいるアイドル達がカウントダウンを始めた。
『3.2.1……ハッピーニューイヤー!!!」
テレビから多くの人たちの『おめでとうー!』という言葉が聞こえる。
スマホに表示されている時間は0時00分。 新しい年の幕開けだ。
俺は急いでフリックして文字を打つ。
内容はお決まりの『新年あけましておめでとうございます。 今年もよろしくね!』だ。
「送信……っと!」
俺は新年の挨拶を送信するが、やっぱり年が明けたばかりだからか、なかなかメッセージが行かないし、来なかった。
俺のメッセージが鈴に届いたのは5分後、鈴からのメッセージが俺に届いたのは更に5分後だった。
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