第66話 クリスマスイブにデートです。 ⑦

「陸くん、落ち着いた?」


「うん……恥ずかしいとこ、見せちゃったね」


「別にいいよ。 全然気にしてないよ!」


 俺が泣いてから数十分後。 涙も止まり、落ち着いた俺は鈴と話をしながら公園を出て、ショッピングモールへと向かっていた。


 まだ目元は赤いけど、元に戻るまで待っていたら服屋が閉店してしまうかもしれないからな。


「今日は本当にありがとう……。 気持ちが一気に晴れたよ」


「陸くんが元気になったんなら良かったよ!」


 俺と鈴は商店街の中を歩く。 周りの人達は俺たちと同じように笑顔の人がいっぱいいた。


「それにしても、ネックレスいつの間に買ったの?」


「陸くんがランニングシューズを見ている時だよ! 元々買う物は決めてたから、直ぐにお会計を済ましたの!」


 鈴はしてやったりという表情をしていた。


「すごいな鈴は。 俺まったく気付かなかったよ」


「そりゃあ、気付かれないようにすっごく注意していたからねー!」


 鈴は楽しそうに笑う。 その笑みを見て、俺にも笑みが浮かんだ。


「でさ、そのネックレスはどう? 陸くんのお気に召した?」


 鈴は俺の首元を見ながら聞いてくる。


 そこには赤と金で彩られているネックレスが揺れていた。


「すっごく気に入ったよ! 赤と金が入ってるのかっこいい!」


「なら良かったー! 陸くんにはこれが似合うって思ってたけど、気に入ってくれるか不安だったんだよ〜」


「このネックレス練習で付けさせてもらうね!」


「どうぞどうぞ〜!」


 俺たちは話しながら商店街を歩いていると、服屋があったショッピングモールが見えてきた。


「服屋さんで服買ったらさ、最後にご飯食べに行こうよ!」


「行こう行こう!」


 俺は鈴の提案に賛成する。 クリスマスイブで人は多そうだけど、1番多いはずの時間帯は過ぎたから、きっと大丈夫だろう。


「それにしても、今日は鈴にデート全部お任せしちゃったし、プレゼントも貰っちゃったな……」


「別にいいよー! 私がしたくてしたんだから!」


「でも、それじゃあ俺の気が収まらないよ」


 俺がそう言うと、鈴は唇の下に人差し指を置きながら考える。


 すると、なにか良いことを思いついたのか、左手を皿にして右手でポンッと叩いた。


「ならさ、私の誕生日に陸くんがデートプランを練って、私にプレゼント渡してよ!!」


「!! それいいね! それでいこう! 因みに誕生日はいつなの?」


「2月14日だよ!」


「2月14日って……バレンタインデーの日じゃん!」


「そうだよ! へへっ期待しているからねっ♪」


 鈴はニコニコ笑いながら言ってくる。


 これはなかなか難易度が高いんじゃないか?


 でも、鈴も期待しているし、頑張ってみるか!!


「陸くん、行こうよ!」


「うん!!」


 俺たちはショッピングモールに入って服を買い、帰りにファミレスで少し遅い夕ご飯を食べた。


 そして、補導されない時間ギリギリまでクリスマスイブのデートを楽しんだのだった。

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