第32話 お泊り会。

「んじゃあ、夏の大会お疲れ様ー! 今日は夜通し語ろうぜぇ!」


「「「いぇーい!!!」


 陸上の大会が終わってから数日。


 今日はユウマの家でツバサ、チアキ、俺、ユウマの4人でお泊り会だ。


 机の上にはコーラや紅茶、ポテチや駄菓子などが置かれている。


「いやーこの中だと一番大会の結果良かったのはツバサか? んで、次が陸。 オレとチアキはどっこいどっこいってところかな?」


「だろうね。 ボク今回速い人達が多い組に入っちゃったからなぁ。 悔しいよ」


「オレだって悔しいさ。 なんたって陸が目の前でゴールしたんだぜ? あと少しで届きそうだったのによぉ」


「今回は俺の勝ちだね。 でも、まだユウマには負け越してるからまだまだこれからも勝ち狙ってくよ」


「おうおう言ってくれるなこの野郎!」


「はっはっはっ! いいぞやれやれお前ら」


「「お前、今回の大会良かったからって調子乗るなよ」」


「え、ユウマと陸が俺に対して冷たい……! 助けてチアキ!」


「……」


「無視ぃ!?」


 俺達はお菓子やジュースを食べながら駄弁る。


 今はツバサがチアキに抱き着いて泣き言を言っていた。


 今回の大会では唯一本選まで進んだのがツバサだ。


 100メートル予選では1組の1位と2位が本選に出場できる。


 ツバサは2位で予選を突破した。


 しかし、本選では奮わず入賞することはできなかった。


 でも、ツバサならきっと来年に入賞することはできるだろうな。


 そんなことを思いながらみんなで駄弁っていく。


 あ、ちょっと俺が食べてたチョコ最後の1つ食べたの誰だよ?


 それはやっちゃいけないでしょ。


「うぇ~い。 じゃあ、次の話題は……恋バナといこうじゃねーか!」


「「うぇ~い!!」」


 ユウマはジュース片手にそう宣言する。


 すると、チアキとツバサも自分のジュースを上にあげた。


 あれ? これジュースなのになんでみんなそんなにテンション高いの?


 あれ? 俺もいつもよりテンションは高いけど、いくらなんでも高すぎじゃない?


「じゃあ誰からいく~? 陸は松田のことが好きとして……チアキからいっちゃう~!」


「「いぇーい!!」」


「ちょちょちょまてまてまてお前ら」


「「「ん?」」」


「なんで俺が松田のこと好きって前提で話してるの? 可笑しくない?」


「「「は?」」」


 俺がそう言うと、3人は俺の方を見て『何言ってんだこいつ?』というような顔をしていた。


 な、なんだよう……!


「いや、お前松田のこと好きじゃん。 大好きじゃん」


「ファミレス行くとき、一番後ろで仲良く楽しそうにお話ししてたのは誰ですかねぇ……」


「ファミレスで一緒のパフェ仲良く頼んで食べてましたねぇ……」


「う″っ」


「部活の時、松田を見たら顔が流れるようにそっちにいくよな」


「あ、廊下とか歩いてるときも追加で」


「なんなら、外周中とかにもさりげなく松田さんを探しているも追加でお願い」


「もうやめてよぉ!!!」


 なんなのお前ら俺のこと見すぎだろ! 俺のこと大好きかよ!!


 そして俺、松田さんに好意向けてるの分かりやすすぎるだろ!


「他にもまだまだあるぞー例えば————————」


 ユウマたちのトークは止まらない。


 それにつられて俺の顔もどんどん赤くなっていき、仕舞いには恥ずかしさに耐えられなくなって、俺は部屋の隅でうずくまり、タオルケットで身体を包んで隠れたのだった。

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