第11話 中間テスト終了。
「すごいじゃない春名くんも松田さんも! 全体的に点数上がってるじゃない! 頑張ったわね、お疲れ様!」
「うっす」
「えへへ~先生褒めて褒めて!」
「えらいえらい。 松田さんとても良いわよ!」
「やったー!!」
あの図書館での勉強会から約2週間が過ぎた。
俺たちはあれ以降集まることはなかったけど、それぞれ友達と一緒に勉強したりしてテストへ挑んだ。
結果、俺と松田さんは二人とも初めての平均点60点超えを達成することができた。
特に二人とも壊滅的だった理科が半分は取れるようになったのはでかい。 これもあの勉強会のおかげだ。
「やったね春名くん。 私嬉しい!」
北山先生に頭を撫でられている松田さんが話しかけてくる。 表情はもうニッコニコだ。
その笑顔を見ていると、思わず俺にも笑みがこぼれてしまった。
「あ、春名くんも笑ってる。 嬉しいんだ!」
「そりゃ嬉しいよ。 なんか勉強の楽しさを今回分かったような気がする」
「それ私もなのー! 今までは悲しかったりため息しか出なかったけど、今回嬉しさと、まだまだ私はいけるっていう自信が出てきた!」
「それ分かる。 あと、今までは次は○○点取りたいなっていう漠然とした目標だったけど、テスト終わってから、次は○○点取りたいっていう具体的な目標と、やる気が出てきた」
「それ私もある! ちなみに次の春名くんの目標ってなに?」
「目指せ平均65点……いや、大きく出て平均70点かな!」
「おお~! それいいね!」
「松田さんは目標あるの?」
「私? 今回は相変わらず社会と国語が壊滅的だったから、二教科とも60点は取りたいな」
「絶対できるよ! だって俺たちこんなに点数上がったんだから、できないわけないよ!」
「えへへ~だよね!」
松田さんの笑顔が更に明るくなる。 俺も更に笑顔になっていることを感じた。
今までただきつかった勉強が楽しくて達成感を感じられるようになるなんて、やってみないと分からないもんだなぁ。
「もうあなたたちどうしたのよ! 今回のテストからいきなり変わっちゃって……先生、とっても嬉しいわ!」
北山先生は今度は俺も巻き込んで頭を撫でてくる。
距離が近くなったおかげで北山先生の甘い匂いと、松田さんの笑顔が目の前に来て俺の体、顔が熱くなるのが分かった。
しかし、嫌な気持ちはまったくなく、むしろこのままでいたいなという気持ちになった。
これが下心からなのか、満足感からなのかは分からないけど、俺は今、とっても幸せだ。
「じゃあ、今回の授業はこの良い手応えを忘れないために、テストの振り返りを時間かけてしましょうか」
「「はい」」
今までは嫌だったテストの振り返り時間。
できない自分を突き付けられて、ただ気持ちが沈むだけだった。
だけど今回は違う。 できない自分を少しだけ受け入れることができるし、気持ちが頑張ろうと前向きになってくれる。
勉強が少しだけ楽しく、好きになったような気がした。
「じゃあこの問題なんだけどね。 ここは絵を見てもわかるように————」
俺たちは北山先生の解説を真剣に聞く。
次のテストは期末か……中間の5教科に加えて、技術家庭科、保体、音楽、美術の4教科が追加されて、計9教科になる。
中間よりも確実に難しくなるだろうな。
でも、頑張って点数を上げたいな。 俺はそんなことを思いながら、シャーペンを走らせるのだった。
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