第22話 一枚上手な九重先輩
食堂の定食の列に並んでいる途中、不可解なことが続いていると聞きかじった。
耳を傾けると、そこいらで話題になっているようだ。
駅前に出るとナンパは当たり前、それも男女ともにという珍現象とのことだ。
関取と思われる重量級の女子やヒョロガリ眼鏡のインキャ男子までも誘われているらしい。
なぜ?
俺は考えた。
かなり、とても、がむしゃらに、思いつくまま考え、一つの答えに辿り着いた。
だが、これは確かめるまでは誰にも言えない。
これが何らかの計略なら早目に潰すべきだ。
だが、確証は無い。
それに今日も、そんなことが横行されるのは俺の役目を考えると到底見過ごすことはできない。
なんなら、自分が確かめるまでの覚悟もある。
そうだ、それなっ!
俺は早速、LINEで放課後の生徒会活動を欠席すると伝えた後、スマホの鏡アプリを立ち上げて髪型を整えた。
無論、大人しめの髪型に変えるためだ。
今ではほとんど使わない度なしメガネを鞄の底から引っ張り出して、準備完了!
生徒会の奴らに見つからないように、いそいそと外履きの靴に変えて昇降口から外に出た。
俺にあてがわれているマンションの駐車場で原付きに跨ると、心は妄想に包まれた。
『かずくん、これからどうする? うち来ない。うちの家、両親とも遅くにしか帰ってこないからね。だから、二人きり。あとは分かるよね』
「あっ、あとはアレだよな」
「アレって、なーに? かずくん」
「いや、アレと言えば、せっ……けんでしょうよ」
「ふーん。石鹸買うのにニヤニヤしながら気持ち悪いわよ。おおかた、変な妄想に耽っていたんでしょう」
「いや、そんなことは、たぶん無い!」
嘘はダメだよな。
だから、ギリセーフな答えだ。
九重先輩、あなたはどちらを信じますか?
「まあ、全然成長してないわね。かずくんが私に嘘を吐いてしまうのをためらった結果、とても変な日本語になってしまったのね。
嘘は良くないけど、日本語もちゃんと覚えましょうね。私が教えてあげるからね」
九重先輩は、なぜか悲しそうな目で俺を見ている。そんなに俺はバカなのか?
いや、そんな訳はない。
俺は一応、裏生徒会副会長だ。
だから、たぶん、きっと、普通に頭は悪くはない、だろう。。。
「はいはい、あなたは普通に学力はあるわ。でも、少しだけ単純過ぎるのよ。喧嘩の時だけに勘が冴えてはいるけどね」
かずくんを落ち込ませないように、普通とは言ったものの、女性が関わるとポンコツだとは言えなかった。私ではなく、せいじからそれとなく伝えよう。
だって、頭を軽く叩かれるだろうけど、折角、かずくんのためにセットした髪型が崩れてしまうのは嫌だからね!
裏生徒会の副会長 のののなの! @nonono1011
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