第37話

小野田防衛大臣が馬を走らせて。


鷹狩りを楽しんでいます。


かんなちゃんはその様子を見に行って。


むかしながらの遊びの味の良さ。


これを見学したのです。


武士の大物。


奈良氏という大御所も同行しており。


華々しいメンバーでした。


この国では騎士は国家の直轄。


武士は王様に所属。


似た者同士ですよ。


宗派の違いと同じなんです。


この後は茶室に出向くそうで。


いいえ。


散歩していたら偶然に遭遇したのです。


環奈。

「神妙だなあ。」

「人の知力を超越した現象・不可思議な事。」


武士。

「借問する。」

「数奇者ではないか。」


環奈。

「御仁。」

「好きで見ているのが所存。」


武士。

「天晴。」

「益体なるぞ。」

「指南は誰ぞ?」


環奈。

「教化されし。」


武士。

「ここまで来ると祝着よ。」


環奈。

「士道たるもの。」

「昵懇ですよ。」


武士。

「己の役儀のため。」

「御明察。」

「女性とはこのようなお人の事を言うのでしょう。」

「驍名は本物ですな。」


環奈。

「諧謔だなあまったく。」


武士。

「謙徳を。」

「充分に楽しんでいかれるが良い。」


全員去っていきます。


丘の上に茶室があって。


湖を見下ろせます。


環奈。

「結局。」

「男性の偉人から学んだ事が多いなあ。」


虚言人。

「道化師の一団が来ますので。」

「巻き込まれないように。」


環奈。

「あらまあご忠告ありがとう。」


花畑に入って。


戯れています。


環奈。

「私曲だけは気を付けたいなあ。」

「邪(よこしま)で、不正である事。」

「物事を自分勝手に解釈して、曲がった考え方をする事。」

「それにしても道化師の一団?」


道を伺っておりますと。


確かに道化師の一団が来ましたが。


武装しております。


後を付けてみましたよ。


かなりの婆娑羅です。


噂の朴念仁でしょうか?


暗黒騎士ゼノ。

「どちらが正しいか戦って決めようではないか。」


従者。

「民の理想郷が実現しますな。」


暗黒騎士ゼノ。

「民主主義をはじめましょう。」


従者。

「人間中心主義のはじまりだ。」

「人類史上主義だ。」


暗黒騎士ゼノ。

「人類はどちらを取るかな?」

「私のような偽悪者か?」

「それとも究極をか?」


革新が迫っている中で。


生まれた過激派。


民主主義と称して。


人間のわがままを実現する為に。


大金と引き換えに戦いを選んだ偽悪者の一派。


世界の一部だけの人間の支持を得て。


条理に背こうと。


でも成功すれば莫大な報酬が得られるので。


それが目当て。


暗黒騎士ゼノ。

「何にも縛られたくない。」

「だから自由を強調した。」

「滑稽じゃないか。」

「自由を実現すれば好きなように居られるから。」

「自分達の為だけにあれを引き合いに出した。」

「人間による人間の為の政治こそ民主主義。」

「図星かな?」

「私はそいつらを利用しているだけだが?」


従者。

「悪役も苦労するんですわあ。」

「でも報酬と比べると。」

「大金のほうが魅力的だ。」


暗黒騎士ゼノ。

「後で裏切ってやるさ。」

「まずはね。」

「人間による人間の為の政治。」

「これを実現させてやる。」

「それが民主主義の本質とはね。」

「笑いが止まらないよ。」


15人が丘への道を上がっていきます。


通り過ぎるのを見ていました。


戦闘が始まったので。


退避。


逃げた先にさっきの一団のリーダーが来ちゃいました。


暗黒騎士ゼノ。

「あらららら。」

「あっさり負けちゃったじゃないの。」


従者。

「人間による人間の為の政治。」

「ただ自分勝手に振る舞いたいだけじゃないの。」

「これでは報酬どころじゃないですよ。」


暗黒騎士ゼノ。

「あそこにいる女の子でも人質にしようか?」


環奈。

「神妙だなあ。」

「討ち取れたらおもしろいと思っていた所。」


従者。

「おい馬鹿共。」

「3対1だ。」


環奈ちゃんに撫斬りにされて全滅。


暗黒騎士ゼノ。

「おお。」

「これでは大金どころではない。」

「ステージから降ろされる。」


環奈。

「自分たちにだけ都合が良い政治って意味ですよね?」


暗黒騎士ゼノ。

「そうだとも。」

「何者にも縛られない。」

「好きなだけ快楽に浸り。」

「何者の支配も受けない。」

「こんなに自分の都合だけを考える政治思想は無いね。」


環奈。

「そんな中で人がどんな堕落をするか。」

「腐敗して愚者へと変貌するか。」


暗黒騎士ゼノ。

「いいんじゃない。」

「民なんてそんなことくらいしか考えないし。」

「自分たちにとって都合が良い政治を敷ければ満足。」

「その中で快楽と安楽が望み。」


環奈。

「気持ち悪いです。」

「神々の怒りを買います。」


暗黒騎士ゼノ。

「いまなら止められるぞ?」

「私を倒せたら一角は崩れる。」

「どうだ?」


環奈。

「私の望みは神聖な世界。」


暗黒騎士ゼノ。

「私がやるのは。」

「人間の都合だけを考え抜いた世界。」


環奈。

「さようなら。」


暗黒騎士ゼノ。

「中々勇敢な女の子だ。」


環奈。

「勇気が私の持ち味。」

「義をみてせざるは勇なきなり。」


林の中で決闘。


敏捷性がかなり高く。


一撃離脱を繰り返すかんなちゃんに。


ゼノは大苦戦。


暗黒騎士ゼノ。

「この動きは驚異的だ。」

「力そのものが具現化したような。」

「それでもって。」

「必ず1手先を潰しに来る。」


環奈。

「動きが遅いです。」

「あなた。」

「本気を出していませんね?」


ゼノは斬りに行けば。


側面を見せたかんなちゃんに。


ひょいっと避けられて。


ぴょんぴょん軽やかに回避され。


剣を捉えられない。


反撃は常に一撃離脱。


ゼノは成す術が無い。


暗黒騎士ゼノ。

「でもなんだろう。」

「動きに迷いを感じる。」

「何かが完成されている訳でもなく。」

「それでもって確実に強い。」

「そうだ!この娘の哲学は完成されていないんだ!!」

「これは行ける!!」


暗黒騎士ゼノがかんなちゃんを追いかけたら。


フェイント。


わざと相手の射程ギリギリで戦い続けて。


ミスを誘っていたのです。


ゼノは深追いする形となり。


ざっぱぎり。


剣の持ち手を鮮やかに斬られて負傷するゼノ。


追い打ち。


バランスを崩した所を。


切り倒された。


暗黒騎士ゼノ。

「シーユーアゲイン。」


環奈。

「意外に装甲があるんですね・・・。」


負傷して逃げていくゼノ。


追いかけません。


敵の援軍と味方の援軍でもう1戦あって。


ゼノは行方不明になりました。


しかしゼノに負傷を与えた事が知られて。


かんなちゃんの技量は明らかにされ。


それなりに名が知れた存在になりましたよ。


かんなちゃんは定評があり。


それが知れ渡る事件となりました。


かんなちゃんには太鼓判が付いており。


もう言うことなしの次世代エースなんです。


新聞でも載りました。


次世代エースまた快挙!ってね☆


女性らしい女性を追い求めて。


女性とはなんでしょう。


問いがあり。


ただ女性という存在の真の姿を追い求めています。


いつか辿り着くのです。


女性の本質に。


女性の真理に。


窓から草原と花畑を見て。


わたしの青春を記します。


それは岩に刻むかのような。


儚く散る花とは異なった。


永遠を意味して。


いつの日か辿り着く。


あの場所へと向かっています。

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