第29話
環奈ちゃん。
アメジストの宝石の髪飾りを付けていますね。
天然石の指輪や。
希少金属のアクセサリー。
髪にちょっとルビーで飾ったり。
上流階級の楽しみである。
コロシアムで。
桜花ちゃんが出場するためです。
コロシアムは。
血を流す競技までありますが。
今回は無制限サバイバルゲーム対決。
桜花ちゃんと「キング」と呼ばれるこの国の最強です。
ドレス姿で環奈ちゃん赴きます。
マダム。
「余ったお金をどうしようかしら。」
ダンナ。
「少しくらいは散財してもいいんじゃないか?」
マダム。
「貧困層に投資でもする?」
ダンナ。
「偽善者にでもなってみるか?」
「おや?あれは環奈ちゃんだ。」
環奈。
「こんにちは。」
マダム。
「よかった。」
「ねえあなたお金を貯めたら。」
「使い道が無くて困っているのよ。」
環奈。
「お金を貯めると失うのを恐れるとはよく言います。」
ダンナ。
「それで2割くらい使ってみたくて。」
「何かいい使い道あるかな。」
環奈。
「どっかの国に魚の釣り方を教えてあげるとか。」
マダム。
「魚を与えても魚の釣り方を教えるのが大事よね。」
「さすがあの娘さん。」
ダンナ。
「高級車6台あっても困ってしまってね。」
環奈。
「では捜し求めましょう。」
「お金を使う機会はいずれ来るでしょうし。」
「貧しい国の事業に投資するとか。」
「天に任せたらどうですか?」
マダム。
「あらまあそれが良さそうね。」
ダンナ。
「では我が財産。」
「2割ほど自由に出ていきたまえ。」
「無駄にならないように。」
「お金を使うのも楽しいな。」
マダム。
「おおむねお金持ちの最高の楽しみはお金を適切に使うことですからね。」
ダンナ。
「ううむ50になってお金を知る・・・か。」
桜花ちゃんが入場です。
サバイバルゲームはアビオニクスが判定し。
3発命中でポイント奪取。
3セット取ると勝利です。
キングが派手に登場しますが。
あまり歓迎されていません。
桜花対キング。
突撃して真正面から撃ち合いになります。
キング。
桜花ちゃんの動きが早くて捉えられない。
桜花。
「なにやってんのよヘタクソ!」
桜花がジャンプして障害物の上から射撃。
キングやられる。
2セット目。
桜花ちゃん。
壁伝えに一瞬に2階にあがって。
背後からキングをねじ伏せる。
観客大盛り上がり。
桜花。
「やーい!やーい!へたっぴ!ぽんぽこぴーのおたんこなす!」
キング。
「おのれ見ておれ・・・。」
3セット目。
素早く動き回る桜花ちゃん。
桜花ちゃん。
「ロボロフスキーハムスターの如く。」
キング。
「撃ってやる。」
桜花。
「そう死に急ぐな、無知なる者よ。」
実はキングはザコを倒して成り上がった為に。
けっこう嫌われ者だったりします。
列強を相手にすると。
まぐれで勝ったりする事が多いのです。
桜花。
「変だなあ。」
「相手インチキしてる?」
キングはインチキで過去2回出場停止を食らっています。
今回もインチキでしょうか?
キング遠くから撃ってくる。
威嚇射撃。
動きがない。
キング右のほうから威嚇射撃を食らう。
次は左方向から。
キング。
「ちくしょう。」
「なんて動きが早い。」
桜花。
「遊んでいるのかな?」
キング詰めにかかるが。
障害物を飛んで乗り越えて。
背後に着かれて。
銃弾とサイド・キックでやられるキングに。
観客大熱狂!
マダム。
「あら女の子が勝ったわ。」
ダンナ。
「キングはまぐれ勝ちが多いからな。」
「最盛期を誇っていたキングはもういないのだ。」
桜花。
「現役引退すれば?」
キング。
「馬鹿な・・・女子供に・・・。」
マダム。
「キング負け惜しみが酷いわ。」
ダンナ。
「子供でも強い戦士はいる。」
「今日は賭け事に勝ったな。」
「程々にしよう。」
マダム。
「ギャンブルは程よく楽しむのがルールですからね。」
「散財したらそれは失敗。」
ダンナ。
「獲得した資金をどう使うかも楽しみだ。」
マダム。
「私達の財産も偶然の業ですから。」
「それは心得てますとも。」
ダンナ。
「なんとか這い上がっても。」
「財布しか持ってなかったら意味はないな。」
マダム。
「みんなそれを知ってます。」
「だから貴方はあの娘に投資したのでは。」
ダンナ。
「有望な子に支援は惜しまないよ。」
ふたり退場。
こっちに向かって目の近くでピースを決める。
桜花ちゃん。
環奈ちゃんも決めポーズ。
しばらくして。
賞金を持って出てくる桜花ちゃん。
環奈。
「戦いの中で人は進化するんだね。」
桜花ちゃん。
「平和な戦いがいまの時代のテーマよ。」
「命懸けで戦ってこそ意味があるんだけれど。」
環奈。
「武器を持たずして平和は語れず。」
「戦争から平和を語るべき。」
桜花。
「そこからならありのままを悟れるわね。」
環奈。
「人生も戦いの連続という見解もあるよね。」
「チェスに例える人はよくいるけれど。」
桜花。
「だったら戦って勝てばいいのよ。」
「人生のチェス?手段は問わないわ。」
「不正を使ってでもチェスに勝てばいい。」
「イカサマがチェスの極意でしょ。」
環奈。
「なんてダークな。」
桜花。
「ホワイトとか。」
「善良でいる限りは力の肯定もできないわよ。」
「暗黒面にわざと堕ちるの。」
「闇の力はなんでも蝕む。」
「白一色になろうとして清濁合わせない者は綺麗事だけを徹底するから。」
環奈。
「確かに暗黒面も受け入れると。」
「おおよそ人は愚者になれなくなるよ。」
「どんなヒーローアニメだって悪者に一理あるし。」
桜花。
「ホワイトにこだわっている奴じゃあ。」
「手に入らない最大の黄金もある。」
「うわべだけ善人面している人は私嫌いだよ。」
「中身が気持ち悪い。」
環奈。
「少し荒れてない?」
桜花。
「ああ人よ大人になるのだ。」
ハイタッチして。
桜花走り出す。
ダンナ。
「おやどうしたのかね。」
「送ってあげようか。」
マダム。
「お友達と何かありました?」
環奈。
「思春期みたいです。」
「何か荒れていました。」
ダンナ。
「おやおや。」
「よくあることじゃないか。」
マダム。
「人としての高みを目指す人は大抵ああなるものよ。」
「あなたも同類でしょう。」
環奈。
「褒め言葉ですね。」
ダンナ。
「意味もなく不満気で。」
「憤怒している人を見てどう思うかい?」
「抗ってばかりで。」
「反抗期は長過ぎる。」
「そんな人が前にいたよ。」
環奈。
「かわいそうです。」
「自分が納得行く結末が欲しいのでしょう。」
マダム。
「反抗期が長過ぎるわ。」
環奈。
「誰もおしおきしないからです。」
ダンナ。
「まあさすが環奈ちゃんだね。」
「また会おう。」
ふたり退場。
帰宅。
メールにて。
荒れている原因は。
「キング」が異常によいしょされている事でしたが。
この後もう一回キングは桜花ちゃんに惨敗して。
ついに興味を失い。
キングの名声は地に堕ちました。
キングは一時期大衆の為に戦っていましたが。
ヒーローになるにつれ。
実力が伴わず。
強敵にどんどんやられて。
ついにはランキング圏外になります。
学校にて。
中庭。
桜花。
「大衆は常に間違うから逆をやればいい。」
環奈。
「大衆に気に入られて得た名声だから。」
「気に食わなかったの?」
桜花。
「衆愚を見たらむかついただけよ。」
桜花退場。
先生。
「まともな人に出会うように言ってあげて。」
「たぶん衆愚をはじめて目にして。」
「その愚かさに腹が立っているみたい。」
環奈。
「前に授業でやったのに~。」
先生。
「愚かな人を見ると誰でも一度はああなるわ。」
「肝心なのは賢くて道理に明るい人の比率が圧倒的に多いこと。」
環奈。
「いいえ。」
「あれはきっと。」
「かつての英雄のようになれない自分に対して。」
「自分に対しての怒りなんだと思います。」
桜花ちゃんの荒れ具合はしばらくしたら治りました。
まともな人の集会に参加したら。
2時間くらいで治ったそうです。
日記。
環奈。
「なんであんなほうに行くかな~。」
「社会は二分化されているから。」
「習ってなかったんだね・・・。」
「さっぱりわからない。」
「桜花ちゃんは敢えて見せられて。」
「衆愚を踏み台にしているようにしか見えないよ。」
「衆愚なんて使い倒される連中で。」
「自ら根底に堕ちていった人達なのに。」
「むしろ衆愚を見に行くだなんて珍しい。」
学校で桜花ちゃんを見かけると。
明らかに動きが早いです。
キレがあります。
戦いの末に。
確実に進化している。
生粋の戦士桜花ちゃんですね。
今日は曇り。
雨も降りそうです。
雨を楽しむ日なのか。
むかしの人は雨に当って楽しめと言いました。
そこまでベテランになれたらいいなあ。
最近は思春期でいろいろあるみんなです。
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