第26話
今日も机に向かいます。
教科書が増えてきましたよ。
良書を頻繁に購入する為に。
いろいろ教育雑誌まで揃えています。
環奈。
「人生の為に勉強するのです。」
「学校の為ではない。」
「あるいは野望の為?」
「なーんて。」
詩織ちゃんが来訪。
本を並べて。
一緒に教材から習います。
詩織。
「人間の本性は善であり。」
「成長するうちに悪を知ってしまう。」
「これが性善説。」
「でもこれ合理的ではありませんよね。」
環奈。
「そうそう。」
「人を知る者は性善説を取れなくなる。」
「相手の心まで見透かすように。」
「善のようで。」
「道徳にかなっていない事をよくやる。」
「論理にはまったくかなってない。」
「正しくもないし。」
「思いやりもない。」
「こうなったら性善説は正しくない。」
詩織。
「一方。」
「人の本性は悪で。」
「生きていくなかで善を学ぶという考え方が性悪説です。」
「性悪説では人をまるで信頼していませんが。」
「けれどこの考え方は社会をより良くするための大切な概念となります。」
環奈。
「まず性悪説をベースとした社会では。」
「誰も政治家のことを信じないよ。」
「彼らは適当に職務遂行しているのみで。」
「実現した試しもない。」
「前と同じ事をやっているだけ。」
「誰がやっても同じ。」
詩織。
「あっ!それ典型です。」
「彼らに必要以上に期待しない点においては優れた見解です。」
環奈。
「有権者はひとりの人間に権力が集中しないようにするはず。」
「人についても期待しません。」
「性悪説から見ると人間だから仕方ない。」
詩織。
「人間は完全な生き物ではないと考えることで。」
「教育システムはより整備されたものになりました。」
環奈。
「理性的に行動するにはどのようにすればいいのかという。」
「精神的な教育に重きが置かれる。」
詩織。
「人は未熟であると言うことが共通認識となっているから。」
「だからこそ共同体として誰もが気持ち良く生きるにはどうするのが賢明か考えるようになります。」
「都市を設計するときは優雅で洗練されたものが目指され。」
「犯罪が起こりそうな要素はあらかじめ排除されてしまいます。」
環奈。
「人は成功し幸せになるものだという認識があるけれど。」
「ロマンチスト。」
詩織。
「悪平等?」
「でもこれだけは言えます。」
「人をよく観察していると悪い心の持ち主であると感づきます。」
「人間はその未熟さ故に失敗しますから。」
環奈。
「本来人は罪の性質を持っている。」
「聖書の言葉がある。」
「人は獣より何も優れてはいない。」
「これが真理なんですねぇ。」
詩織。
「性善説ばかり学んだら。」
「人に裏切られますよね。」
「利己主義で自分勝手な考え方をします。」
「彼らは何を基準にしているのでしょう?」
「自分です。」
「自分を基準にすることは自己中心という意味です。」
環奈。
「性悪説とは人に絶望した考え方ではありません。」
「むしろ性悪説を基準とした社会の方が。」
「思慮深く安定した世界になります。」
「教科書これで終わり。」
詩織。
「実際に見ると性悪説が通用しますね。」
「性善説は通用しません。」
「性善説を唱えると偽善者扱いされます。」
環奈。
「善だからなんでも許すなんて考え方。」
「あたまおかしいです。」
詩織。
「そんなに暴力を庇う理由ってあるんでしょうか。」
環奈。
「暴力は粉砕するに限るよね。」
詩織。
「神は善人より義人を選んだ。」
環奈。
「神は善良な者を悪者の前に差し出す。」
詩織。
「言い得て妙。」
環奈。
「悪を殺すのも人の道です。」
詩織。
「じゃあ悪者を殺して救ってあげましょう。」
環奈。
「キャー!バイオレンス。」
詩織。
「わあなんてブラックジョークなんでしょう。」
環奈。
「でも性悪説が合理的であるのは理解できたなー。」
詩織。
「性悪説のほうが現実味がしませんか?」
環奈。
「そうであるならば性悪説を採用すればいいのに。」
詩織。
「なのでこの教材はあるのです。」
「1時間勉強すれば充分でしょう。」
環奈。
「じゃあちょっと体動かそっかな~。」
詩織。
「アスレチック広場がありますよ。」
移動。
いろんなアスレチックが設置されている。
複雑でパズルのようですが。
環奈ちゃん。
ハイジャンプして飛び越えて。
正規ルートではない場所。
屋根のような骨組みの場所を通り抜けていきます。
詩織ちゃんも続きます。
起伏を飛び越えて。
手を軸に体を回転させて。
アスレチック広場のゴールにあっという間に到達。
環奈。
「高度な体術。」
詩織。
「このくらいのトレーニングは序の口です。」
環奈。
「じゃあこの広場を使ってモダン・コンバットやろう。」
詩織。
「負けませんよ~。」
模造刀で戦う試合の一種。
ただしとんでもない場所で戦うタイプの試合です。
場所はアスレチックの上。
または中。
このアスレチック公園は広大で。
倉庫にいろんな備品があり。
自由に使えます。
持ってきて。
お辞儀した後。
すぐ。
両者模造剣を抜いて斬りかかる。
最初は劣勢だった詩織ちゃんも。
アスレックを巧みに使って奇襲攻撃。
建物のような構造なので不意打ちや逃げながら戦うことも自由自在。
環奈。
「うー。」
「場所がまずいなー。」
詩織。
「わたしに分があるみたいですね。」
今度は天井から奇襲して。
詩織ちゃんが一撃離脱。
環奈ちゃんが追いかけて。
アスレチック上部の丸い高台にて追いつきましたよ。
ここで斬り合い。
詩織ちゃんが飛び降りて。
アスレチックのでっぱりを掴んで。
中に潜伏されてしまう一瞬の出来事。
環奈。
「そんなー。」
見失いました。
いきなり後ろから格闘戦。
不利になった詩織ちゃん一撃離脱。
そのまま試合を続けましたが。
スタミナ切れして辞めました。
環奈。
「思ったより凄いね。」
詩織。
「カンナちゃんも思った以上に強いですね・・・。」
環奈。
「休んでからスイーツ食べない?」
詩織ちゃん。
「それは良い提案!」
たまに屋台が巡回していて。
捕まえて。
クレープをベンチで食べて。
この日は終了。
環奈。
「またねー。」
詩織。
「平和でありますように!」
環奈ちゃん部屋に横たわる。
環奈。
「いっぱい遊んで遊び疲れた。」
「しばらく休養。」
メールフォルダは満杯。
ちょっと放置気味。
夜中。
メールの返事。
環奈ちゃんが忙しいと思って。
今日送られてきたメールは無いようです。
また明日から。
友達と真面目に遊んでみます。
今回の夏休みも有意義に過ごせそうです。
蝉が飛び回る。
気温は暑いがハートも熱いぜ的な。
元気MAXな女の子たちです。
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