第24話

お父さんが前より強くなっていたので。


さすがに勝てませんでした。


環奈ちゃん相手に手加減しても勝てるようです。


でも環奈ちゃんの実力は大学レベルで勝ち進めるほどです。


お父さんが強過ぎるんですね。


川が流れる林と花畑と草原。


シートを敷いて瞑想する環奈ちゃん。


環奈。

「あの言葉を口に出そう。」


心を空っぽにしなさい。


形の無い水になりなさい。


カップに入れると、水はカップの形に従います。


また、ティーポットに入れれば、ティーポットになります。


水は流れることもできるし。


衝突することもできるのです。


あなたも水のようになることを学ぶのです。


環奈。

「これはあのひとの戦いにおける精神。」

「水のようになることによって。」

「戦いにおける冷静さと悟りがある。」


李・小龍(ブルース・リー)


軍隊にも認められている截拳道(ジークンドー)を創始した伝説的格闘家。


その言葉は戦いにおける急所を捉えていた。


環奈ちゃんはクラブマガも習っていて。


フィジカルがとても強い。


数々の医療機関や体育機関の専門家から。


クラヴマガは身体を鍛えるトレーニング手段としても。


驚くベきほど効果的であると認められています。


瞑想を終え。


帰った環奈ちゃん。


お父さんが剣を振るっていろいろ試しています。


小十郎。

「おお?雰囲気が違うぞ。」


環奈。

「お父さんってどういう道のりでそうなったの?」


小十郎。

「力をひたすら求めた。」

「力を肯定し。」

「力について知った。」

「その末の武力。」


環奈。

「力について悟ったんだー。」


小十郎。

「素晴らしい。」

「しばらく見ない間に成長している。」


環奈。

「そうかなー。」


小十郎。

「では手合わせしてみるか?」


環奈。

「うん。」


模造剣を取り出してきて。


打ち合います。


前より激しい剣戟を加える環奈ちゃん。


小十郎。

「戦闘スタイルが確立してきたんじゃないか?」


環奈。

「お父さんも余裕が無くなってきているよ。」


お父さんの一撃は重いので。


横にズラして。


軸に回転してパワーを逃がしています。


こうするとパワー負けしません。


動きが読まれていますが。


激しい剣戟でカバー。


いきなり絡め捕られて頭にこつんとやられました。


環奈。

「あー。」

「一筋縄ではだめかー。」


小十郎。

「やるなようになった。」

「ううむ立派だ。」


環奈。

「次こそは。」

「お父さんは本気になるよ?」


小十郎。

「楽しみにしている♪」


部屋に戻ったら。


心玖ちゃんが遊びに来ました。


部屋にて。


心玖。

「集団主義って気持ち悪い。」

「分析してみると。」

「集団でひとつ。」

「自分というものを持たない。」

「集団をコントロールされると終わってしまうから。」

「羊の群れと同じで。」

「最初の一頭が動けば釣られて動く。」

「1頭が動くと周りの羊も釣られて動き。」

「皆で迷える羊群となるのが集団主義者。」


環奈。

「むかしこんな実験があった。」

「地下鉄で煙装置を起動して逃げるか逃げないか。」

「集団主義者はみんなが平然としているから。」

「その理由で逃げなかった。」

「結果として列車は煙だらけになって終了。」


心玖。

「集団主義者は多数派の意見が正解であると認識している。」

「リーダーもいないし。」

「でも社会は集団じゃない。」

「組織とチーム。」

「これは定義がそれぞれ違うから。」


環奈。

「集団主義者は衆愚と呼びます。」

「衆愚だから集団を絶対視する。」

「多くの愚か者。」

「腐敗した民主主義の体系のひとつ。」

「衆愚の仲間になることを教えたらもう腐敗している証拠。」


心玖。

「わー気持ち悪い。」

「個人主義が正しいという結果になった。」


環奈。

「個人主義は基本でしょ?」

「自己犠牲とか進んでやったら。」

「かっこつけているだけで。」

「結果は悪いもの。」

「自分より他人が大事なんてことはないから。」

「自分を生け贄にするのでしょうか。」


心玖。

「あたまわるくなったらおしまいだね。」


環奈。

「なるほど。」

「哲学者の性格なんだねー。」


心玖。

「学者になりたい。」


環奈。

「私は職業がまだ定まっていない。」

「定まるまでお互いに頑張ろう。」


心玖ちゃんとチェスをやってみましたら。


ダブルチェックをされました。


さすが心玖ちゃんです。


心玖ちゃんと雑談して帰っていきました。


草原気味になっている家の周囲。


窓から眺めています。


環奈。

「最近は自然環境が変化して。」

「なんか綺麗になっている。」

「生物も変わっている。」

「なんだかなー。」


人々はみんな自分たちの愚かさを知っています。


間違っているし正しくないことも。


知っていますので悔い改めています。


都会に行くとみんなそれをよく話します。


この世界には食べると永遠の命が得られるという。


命の木の実があるそうですが。


どこにあるのでしょう。


許可無く手に入れられないそうです。


自然環境が綺麗になっている最近。


環奈ちゃんはほおづえをして。


自然を眺めています。

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