第23話

お父さんが帰ってきました。


清々しい顔で。


満面の笑み。


環奈。

「お帰りー!」


小十郎。

「ただいま♪」


母親。

「どうだった?」

「お土産話をちょうだいな。」


小十郎。

「また後で。」


母親。

「かんな。」

「まずは休息よ。」

「お父さん疲労があるから。」

「男はスタミナ維持が課題よね。」


その日の夜。


小十郎。

「なるほど。」

「いろんな出来事。」

「学校生活は楽しそうだな。」


環奈。

「大学生と試合をして勝ったんだよー。」


小十郎。

「おお!」

「幸先いいではないか。」

「次はプロに打ち勝ってみるんだな~。」


環奈。

「かんなならできるのだー。」


小十郎。

「行ける所まで行く。」

「限界すら越えて行け~。」


環奈。

「うをー♪」


深夜。


母親。

「かんなは具合良く成長しています。」


小十郎。

「無策で設けた子では無い。」

「その子の性質に合った育成方法を選択している。」

「臨機応変。」

「私の我を通したりはしないよ。」


母親。

「私も状況を見ながら。」

「あの子に補正をかけています。」


小十郎。

「子育ては簡単ではないのだ。」

「反抗期になったか?」


母親。

「反抗するどころか従順よ。」

「道理にかなっているって言われたわ。」


小十郎。

「人を育てるんだ。」

「責任があるもんだな。」

「稀に自分の所有物としか考えていない奴も居るが。」

「子供にも人権がある。」


母親。

「親になるのに資格はないのですから。」

「失敗すれば何かしらの方法で責任は問われます。」

「人を育てる。」

「人の未来に責任を持つのですから。」


小十郎。

「こういう責任からは逃れられないな。」


母親。

「まったくです。」


早朝。


小十郎。

「よし。」

「少し休暇だし。」

「練習剣で遊んであげよう。」


環奈。

「ずるーい!」

「本気でやってよね!」


小十郎。

「お父さんに本気を出させられるかな?」


環奈。

「なるほど。」

「やってやるからねー!」


試合開始。


斬りかかる環奈ちゃん。


先読みされて回避されました。


動きが読まれています。


軽く剣を叩かれてスタン。


くるっと剣を捻られて。


肩に一発。


環奈。

「うー!」


小十郎。

「中々強力な剣戟だな。」

「だが。」

「少し単調だぞ。」

「変則的な剣術を心掛けてみなさい。」


環奈。

「変則的。」

「理解したよ。」

「次こそ本気出させるからね!」


小十郎。

「何度でもかかってきなさい。」


環奈。

「行くよー!」


試合終了。


環奈。

「なんでそんなに強いんかな?」


小十郎。

「前にも教えただろう?」


環奈。

「あー!確か。」


小十郎。

「人は真理に従うなら自由を発見し。」

「真理に逆らうなら。」

「何一つすることができない。」


環奈。

「私たちは。」

「真理に逆らっては何をすることもできず。」

「真理のためなら。」

「何でもできるのです。」(Ⅱコリント13:8)


小十郎。

「だからこそ強いのだ。」


環奈。

「さすがお父さん。」


小十郎。

「さて。」

「あの木まで競争だ。」

「かけっこならかんなでも勝てるだろう?」


環奈。

「よーし。」

「負けさせてやるからね!」


母親。

「あらあら。」

「青春やってるんだから。」


親子の時間は美しく流れ。


環奈ちゃんに華を添えられる。


人の美はここに満ち足りて・・・。

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