第18話

学校。


絵画を見ながら。


理沙。

「私はそんな程度?」

「いいえ。」

「まだ何か余地があるはず。」

「今年は世界ランキング県外。」

「小学六年生の時はU-12で世界ランク10位。」


詩織。

「劣勢ですか?」


理沙。

「反対に優勢だから勝てるという保証はないわよ。」


詩織。

「どうも有利不利で見てしまうのは。」

「生兵法ですよね。」


理沙。

「世界を見ていると。」

「どうも見劣りしてね。」


詩織。

「理沙さんって本気を出した事無いですよね。」

「もしかして。」

「半分諦めている?」

「燃費が凄く悪いんじゃ・・・。」


理沙。

「遠距離攻撃だけしか取り柄がないから。」

「いつも予選落ち。」


詩織。

「あれだけの技が出せるのに。」

「それでも予選落ちなんですね・・・。」


理沙。

「魔法使い一族の中では中の上くらい。」

「若いって損なのかな。」

「ベテランは弱点が無さそうだし。」


詩織。

「早熟な人は若くてもベテランを倒してしまいます。」

「若さで量ってはいけませんよ。」


理沙。

「私の場合は晩成かもね。」

「天才同士の戦いになると。」

「どうしても負けちゃうのよ。」

「実は渚沙に勝てないことを隠していたりも。」

「私は何か意欲を無くしていて。」

「どんなことも中途半端。」

「真面目になろうとしても。」

「つい弱さが出ちゃう。」

「ただ単に流されるだけ。」

「自分で舵を取るのをやめてしまった。」

「生まれつき才能があったから。」

「それに依存していくうちに。」

「通用しなくなれば終わりよ。」


詩織。

「原点回帰が必要ですか。」


理沙。

「初心者からやり直し。」

「私はいろんな所が崩れている。」

「なんに対しても手を抜くし。」

「でも。」

「そんな弱さを認めていくの。」

「人としての弱さを。」

「それを知ったから。」

「私は驕り高ぶったから。」

「それを壊されて何も無くなってしまった。」

「哀れな私。」


詩織。

「大丈夫です。」

「いちからはじめて100まで頑張りましょう。」


理沙。

「私には迷いが生じている。」

「試合でも上手に戦えない。」

「でも。」

「最近。」

「魔法を使って芸が出来るようになったり。」

「自分でも意外だわ。」

「見世物にすれば受けるかもね。」

「タロットカードで遊んでいたら。」

「叔母様に大喜びされたし。」

「カードが意思を持つかのように不思議な発現をするとか。」


詩織。

「元々試合に向いているタイプの魔法使いじゃないのかもしれませんね。」


理沙。

「そうだったら私としては微妙かもね。」

「なんか変に気分が良いわ。」

「ちょっと遊んでくる。」


詩織。

「最近みんないろいろですねぇ。」


杏桜。

「もうみんなお年頃なのよ!」

「恋の季節?」

「あなたを追いかけてどこまでも行きます?」

「ああなんて美しい青春。」

「是非是非恋話を聞かせて。」


詩織。

「うふ。」

「内緒です☆」


杏桜。

「ああ待って!」

「こんなことで私くじけない!」

「必ず射止めてあげるから。」

「私のこの情念の赴くままに!」


帰宅。


母親といろいろ相談している。


特殊な道へ行こうと決意する理沙。


理沙。

「私は特殊なタイプかぁ。」

「最強の魔法使いなんて夢見たけれど。」

「それも潰えて。」

「でも。」

「特異な能力で。」

「ひと咲きできそうね。」


理沙も過渡期でしょうか。


年頃の女の子には。


変化の時節が到来。


日々を過ごしながら。


模索あるのみです・・・。

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