第8話
かんなちゃん。
占い師の修練を積んでいます。
占い師は宗教的なカウンセラーであり。
相談者の苦しみを減らす為にいます。
環奈。
「神道の占い師。」
「神社に正式な占い師がいるように。」
「私も神様から教わって修行中。」
「わたしもまだまだ。」
この日は相談者が5人来訪。
宗教的な方向から鑑定し。
助言を与えましたよ。
無料でやっています。
いつか仕事にできるといいですね。
環奈。
「裏には裏がある。」
「真実な話なのに実は別な意味をもっているの意。」
「表面に出ない事情が複雑にいりくんでいて真相が計りしれないというたとえ。」
「これを知らないと部分的な理解しかできない。」
「表面だけ見てすべてを知った気でいるのは。」
「気の毒です。」
午前中で閉店。
わたしも勉強しなくちゃ。
いろいろやるのです。
そうしていたら。
ちょうどいい所にちょうどいいひと。
麻友ちゃんが新聞を持ってきましたよ。
麻友。
「民衆扇動があったようです。」
「何をやってるんでしょ。」
環奈。
「それはそうだよ。」
「大衆は常に間違っているから。」
「そうでしょ?」
「芸術や文学からドラマや人物に至るまで。」
「正当な評価を大衆がすることは不可能。」
「人生の達人であるアールナイチンゲールの言葉そのもの。」
麻友。
「大衆は常に間違う。」
「その言葉は事実ですよ。」
「確か見本が無いのなら大衆の逆をやればいいとか言ってました。」
環奈。
「哲学的価値・歴史的価値・学問的価値。」
「素人に評価を委ねるほうが間違っている。」
「だって大衆は常に間違うからね。」
「大衆に評価を委託したり評価する権限を与えるのもまた間違い。」
麻友。
「確かにそうです。」
「人生の達人は素晴らしいですね。」
「ちょっとそれを基に新聞を探究しましょう。」
環奈。
「これも必要な鍛錬かな?」
「良いニュースだけを掲載している新聞もあるね。」
麻友。
「先程書店に寄って3つほど入手したんです。」
環奈。
「これも勉強かな。」
「自分の世界の事くらい知っておかないと。」
麻友。
「自分が知らなくてはいけないことを知っておかないと。」
「知らなくてはいけない事を知る必要があるんです。」
環奈。
「まさにそれだよね。」
「今日は新聞の虜かな。」
麻友。
「とにかく蒙昧は嫌いなのに。」
「それでもって無知です。」
環奈。
「実はわたしも知らない。」
「無知であるけれど。」
「否定の限りを尽くしてたどり着く場所には。」
「アポリア(行き詰まり)が待っています。」
「無知の知。」
麻友。
「自分は無知です。」
「知ったかぶりをしていただけなのです。」
「無知であると自覚して無知に陥り。」
「無知から生じた知識が真のもの。」
環奈。
「詳しくは専門書にあるね。」
麻友。
「それにしても。」
「ソクラテス式問答法。」
「わたしたちよく使いますよね。」
環奈。
「なんでみんな自分は正しいと言えるの?」
「その根拠は?」
「根拠はどこから来ている?」
「問いを連発すると自称知者は自壊する。」
「人間や文学についても。」
「世界についても。」
「みんな何に対しても絶対的な根拠は存在しないのです。」
麻友。
「作品の評価は特に。」
「その作品が凄いと思った理由はなんですか?」
「あなたの評価の基準と。」
「その作品が良いと思った理由を教えてください。」
「もしかして特に無いとか?」
環奈。
「感情論で物は語りませんよー。」
「文豪シェイクスピアのヴェニスの商人。」
「ドイツの偉人ゲーテのファウスト。」
「シェイクスピアは大人の文学で。」
「小説らしい小説であると思いました。」
「わたしのお手本です。」
「ゲーテは詩人であって。」
「すべて詩文で構成されている所を見ると。」
「西洋の集大成とも言えるから。」
麻友。
「シャーロック・ホームズ名言・出典・恐怖の谷。」
「凡庸な人間は自分の水準以上のものには理解をもたないが。」
「才能ある人物はひと目で天才を見抜いてしまう。」
「人の才能を見抜くのも才能が必要。」
環奈。
「では才能とは?という問い。」
麻友。
「国語辞典によると実力の事を指すようです。」
「鍛錬ですよ。」
「武者修行で得られるという結論です。」
環奈。
「問答法はこんなふうに展開できるし。」
「意外にも真理に近づけるよ。」
麻友。
「リベラルアーツの基本のひとつ。」
「問いが必要。」
「現代は正解を求めてしまう悪癖がありますが。」
「正解を定義付けたら。」
「愚直の見本市になっちゃいます。」
環奈。
「神様の存在は特に。」
「神が居ないのならなぜこの世はあるの?」
「なぜ人の存在がある?」
「自然から来るのなら自然はどこから発生した?」
「ビッグバンはどこから来たのか?」
「どう見ても神様がいらっしゃる証拠があるので。」
「わたしは自分が正しいと確信するようになった。」
「わたしは順正であれ。」
自分は正しい!と言うのなら。
自分が正しいという根拠がある筈。
正しいと言える理由があるはず。
自分は善人と言える理由も必要になる。
そうなると多くの人が自壊するのです。
いにしえの賢者達は凄まじいですよ。
しっかり学ぼうと思います。
新聞に夢中になって。
午後3時。
麻友ちゃんが引き上げて行って。
ちょっと思う所があり。
純文学をやってみます。
すらすら書けます。
この不思議な言葉があるのです。
意到りて筆随う。
いいたりてふでしたがう。
優れた詩や文章が思うままに。
すらすらと書けるようす。
文章を書くとき。
なかなか思うように筆が進まないものだが。
心にこう書きたいと思えば。
筆がそのように動いてくれるということ。
環奈。
「起承転結を使ってみよっと。」
「元々は漢詩の絶句における構成法のひとつ。」
「いまでは。」
「文章や物語の展開。」
「物事の組み立ての手法。」
「まず始まりがあり(起)」
「次にそれを受けた部分が続き(承)」
「内容が大きく変化し(転)」
「最後に結論、結果がある(結)という構成。」
「類語に起承転合がある。」
「学校で習うけれど。」
「習うより慣れよ。」
「ということかな?」
書き進めていますよ。
良い作品になるといいなあ。
わたしの文学は哲学の文体ですね。
古代ギリシア賢人プラトンの言葉。
「哲学は最高の文芸なり。」
人は通常。
唯物論的な世界しか認識できない。
イデアは景色や風景。
物の配置は同じでも。
内容は全く異なる。
それは唯物論の世界では無い。
これをイデアと言う。
イデアの世界は本物だけが存在し。
本当の現実がそこにある。
イデアに入るのはコツが要るし。
継続的に入れるというより。
多くの場合は一時的だけれど。
わたしはイデアの住人になりたい。
わたしの戸籍はイデアに入れたいなあ。
そこではすべてが尊く。
真実のみがある。
唯物論の世界なんてつまらないし。
くだらないよ。
イデアはこの世の真実。
わたしは体験したことがあるから。
わたしはイデアの住人になりたくて。
神様にお願いしようと思います。
哲学は真理をもたらす。
知性の探求。
わたしは知ってしまった。
さて。
この前買ってきた通俗小説が机の上に。
読み物としては優れていますが。
何かの価値は無いですね。
わたしは大衆受けする。
大衆に媚びた通俗的な文学を嫌っています。
純文学の定義はこれです。
広義の文学に対して、詩歌・小説・戯曲などのように美的情操に訴えるもの。
純粋な芸術をめざす文芸作品。
(対)大衆文学・通俗文学。
大衆に媚びた大衆的な文学はこれです。
大衆的。
庶民向きであるさま。
大衆文学。
(文)大衆をおもな読者とする通俗的な文学。
(対)純文学。
通俗的な文学には何の価値も無いのです。
いくら人気が出ても作品自体に価値はありません。
読み物として優れてはいても。
価値が無い雑誌のようです。
通俗小説とは。
文芸的価値に重きをおかず。
大衆の娯楽を主眼とする小説。
そんなのくだらないよ。
通俗的。
俗受けのするさま。
低級なさま。
くだらないさま。
こんなのが通俗的な物の定義ですから。
気持ち悪いです。
わたしの文学は純粋な芸術をめざしているんですよ。
純文学こそ小説らしい小説でしょう。
わたしは岩に刻むやり方をすると決めたんです。
ちょっと隣にあった国語辞典を読んだらハマってしまいました。
環奈。
「知識の宝庫じゃないのー!!」
「知りたい事がいっぱい!」
「言葉ってすごい!」
善と悪。
正義や道理。
知らなくてはいけない知識は容易に得られる。
最強の本ですねー。
わたしは主知主義になれましたよ。
角川さんの国語辞典で実際に書かれていた定義です。
文学。
自然科学・政治・法律・経済などの学問に対して、純文学・哲学・史学・倫理学・社会学・言語学などの総称。
想像の力を働かせて、思想・感情を言語・文字で表現した芸術作品。詩歌・小説・随筆・戯曲・評論など。(同)文芸。
詩歌・小説・戯曲などを研究する学問。
-文学史。
文学の発達・展開のあと。文学の歴史。また、それを歴史的に研究する学問。
-文学者。
文学作品をつくる人。作家。
文学の研究者。
-文学少年。
作家をこころざす青年。
文学的雰囲気を好む青年。
言葉の力ってすごい。
しばらく国語辞典の虜ですよ。
芸術作品の見方はふたつあって。
歴史的価値と学問的価値があるのです。
芸術至上主義なわたしは。
どんなものが創造できるのかな?
芸術。
学芸と技術。
文学・音楽・絵画・彫刻・演劇など。
特定の様式・素材によって美を表現する活動。
環奈。
「すべてを岩に刻み石に跡を残せ。」
「言い伝え。」
「いつかこの世が完全に行き詰まる時。」
「人は神様を求めるようになる。」
「人の力では不可能であると。」
「ようやく悟ったとき。」
「神は奇跡を見せる。」
「はじめて人は神を目の当たりにする。」
「はじめて人は神を見る。」
「そして神を知る。」
「ジーザス。」
祈りを捧げた夕暮れ。
綺麗な光は私を照らして。
自然とひとつに。
のどかな日常。
今日はこんな感じで有意義に流れていきました。
わたしは石に刻むような生き方がしたいです。
青春真っ盛りのわたしの夏ですね。
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