少女の言うことには
――――
「さて、これで聞き取りの話が終わりましたね。いやぁ、聞き取りっていうのは大変ですね。ずっと座っているだけなんですから」
「でも君はそれの一部始終をちゃんと聞いていたんだね?」
少女は私の言葉に再び微笑むと言った。
「それはあとで彼女から聴いたんですよ。なんでわかったのって」
「なるほど、それに感心したのかい」
「そうそう、そうです」
少女は微笑みながらそう言うと、一息おいて言葉を継いだ。
「それであなた、四号バンガローに泊まっているんでしたよね?」
「ああ、そうだけど」
「じゃあこれもなにかの縁ですね。どうです、犯人分かりましたか?」
それは私にとって青天の霹靂だった。私は今の今までこの話のメモに従事していた。だから、いきなりなぞかけをされて戸惑ってしまった。しかし、このなぞかけは少女にとって当然の行動だったかもしれない。推理小説の解を知った人間が得意になってそれを話したくなるのと同じ感情なのだろう。ましてこの事件は彼女の身近で起きた事件なのだから無理もない。
「いや……ちょっと待ってほしいかな」
「あら、そうですか」
少女は悪戯っぽく笑った。
ぐぅ。
「お肉もう一枚いただきますよ」
私はメモに目を落としながら頷くと皿を差し出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます