神話の破壊

コピペエンジニア

銀の弾丸などない

第1話 小さな破滅の歌

眠い…意識が保つのが難しい…

頭部は舟を漕ぎ始めていたが、仕事の納期は今月末…


仕事をしなければいけないという意識はあるが、あまりの眠さに耐えかねて俺は一人休憩室で眠ることにした。

既に何連勤したかわからないが現在2徹した事は確かだ。


汗に汚れたシャツで休憩室のソファを借りるの申し訳ない気持ちがあったが俺の上司はとても優しくて『お前には今後とも期待する』とをプレゼントしてくれている。


俺はスマホで2時間後にアラームをセットして、いそいそと寝袋を敷いて眠りについた。


『あ…え…あら…え…争え…』

歌が聞こえて来た気がした。


『戦争だ…火種を付けろ…戦争だ…燃料追加で燃え盛れ!』

とても不謹慎な歌を歌いつつ誰かが俺に近づいて来ている。


そんなことはどうでもいい、既に俺の体は眠りに着くために体のすべての活動をスリープモードに移行してる。


「君、僕の声聞こえてるよね?」

少女のような声だ。

俺は既に意識残して体は眠りに入っている。

後は意識がなくなればこれで入眠となる段階だ。


「起きろや!起きろって!…ねえ…あの…聞こえてませんか?チッ…しゃーない。炭山水、鳴き声だ!」

「ワォーン」


『ブルル…』

俺は跳ね起きた。


「はい、もしもし、桑地です。何かありましたか?」


反応がない。電話を見ると着信がない。

「さすが社畜は凄えな。」

俺は声をする方を向いた。

「こっちだよ。この天使なミク様が見えるか?」


そこに居たのは手に乗るくらいのサイズの小さな三首の黒い犬に乗った、緑髪の着ぐるみだった。

あまりの眠さで俺はとうとう幻覚が見え始めたのだろう。


「寝よう」


「待てよ!お前にいい話持ってきたんだ、起きろや!」


先程着信音のせいで体は少し起きてしまった。

とりあえず眠りに入るまでは聞いてやろう。


「どうせ幻覚だろ?このままで良いなら話してみろ」


「うむ、僕はミク。職業は美少女で妖精。で、このケルベロスが炭山水。こいつの頭ひとつがお前から見て右から炭、山、水だからな。」


幻覚にしては設定を詰めてきてる。


「んで、社畜のお前に吉報だ。てめぇはこれから社畜をやめる。」


「眠いから手短に話せ」


「今のプロジェクトはどうだ?ここ最近急速に人員を入れてるだろ。でも、プロジェクトは遅々として進まねぇ。それで、てめぇにはバカな上司が信じてる人月神話を打ち砕いてもらう」


「ワン」


「今の作業を進めるために人員が必要なんだから入れてるんだろ。見積もり上、後6人月で終わるんだ。5人も入れば2週間も要らないよ…」


「だから、てめぇら阿呆どもが信じてる、その人月神話を破壊するんだ」


幻覚と話してて頭ははっきりしてきたがもう話す体力も無くなってきている。


「てめぇにはこれから…」


そこで、とうとう俺の深い眠りに入って意識は黒く塗り潰された。




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