もう一人の少女
「美少女と液体人間」を見て真っ先に気づくのは、よく考えられたシナリオである。基本的な設定はオリジナルの「美女と液体人間」そのまま。しかし大胆な改変が加えられ、現代の視聴者にもアピーするものなのに変えられている。
特に異なっているのは、ヒロインの女の子の「かすみ」という少女だ。孤独でインコのピーコしか友達はいない。両親には虐待を受けて育っている。父親はギャンブルに夢中、母親はろくに家事もせずにかすみの貯金に手をつける。
ある日かすみは、庭に入ってきた奇妙な生物に目を奪われる。それは政府の政府の秘密研究所から逃亡してきたラットの変異体で、近づいてきた生物を何でも溶かして吸収してしまう。うっかりインコのピーコに接近してしまった生物はインコを吸収してしまう。かすみは生物に「ピーコ」と名付け可愛がる。
しかし生物はまだ生き続けていた。液体生物はさまざまに姿を変え、あるいは増殖し、増えてゆく。肉体の一部は他の生き物に他の生き物に取り込まれて、他の肉体となるが、大多数は他の生き物の一部となって一部となって生き続ける。
政府のエージェントが秘密を回収にやって来る。かすみは生きたまま生物に殺されて殺されそうになるが、寸前で気がつき、おのれの肉体を液体に変えて難を逃れる。やがてかすみは逆襲を開始する。政府のエージェントを火炎で殺し(無敵の液体人間も、毒ガスや火炎にだけは弱いのだ)、ピーコや自分の身を守る。
そして仲間になってくれる生が増えてゆくにつれ、液体少女かすみの守りは強固になってゆく。液体インコだけではなく、液体カラス、液体セントバーナード、液体金魚……。
かすみに手を焼いた政府のエージェントは最後の手段に出る。かすみの心の友である「玲子」を人質に取り、助けたければ毒を飲んで自殺しろと命じたのだ。親友を救うために自殺しようとするかすみ。寸前で礼子は気づいて、かすみを救うために身を投げ出す。激しい死闘の末に、エージェントは全滅する。
礼子は殺し合いの間の犠牲になって倒れる。だがまだ死んでいなかった。かすみは玲子を助けるため、彼女の肉体を液体に変える変えることを思いつく。液体人間になったかすみと玲子は、混ざり合って一体の液体生物となり、新たに独立して新生命となっていた。
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