第2話 星の秘密


————僕は君の大好きな湖の星だよ



「星っっ、、で、でひゅか!?」


衝撃的な出会いから5分程が経っていた。制服は未だにビショビショだ。

未だに心臓がバクバクと音を鳴らし、緊張のせいか喉が乾き、変な声を出してしまった。

だがそんな事を認識する余裕の一つもない甘菜はというと、なぜか湖に背を向け自分で作った椅子に向かい正座をしていた。


その光景はまるで椅子を神様の様に崇める人のようだった。


しかしそんな事はお構いなしと言わんばかりに星は語りかけてくる。


「先程は驚かせてしまったみたいで、申し訳なかったね」

「君はいつもここにいるね。この場所が好きなのかい?」


「、、、えっ!?、、あっ、、はっハイ!!」

俄然まだテンパっている。


「僕は、この宇宙に存在する湖を管理する星から来ていてね、今はこの湖をきれいにしているんだよ。」


「・・・この湖のお、お掃除に来てく、く、くれたって事ですか?」

少しばかり緊張にも慣れてきたのか、恐る恐る質問をしてみる事にした。


「うんまぁそんな感じかな。僕も湖が大好きでね。それで”星”になったんだ。」

と星はスラスラと自分のことを話し始めた。


「み、湖大好きです!私も!」

自分の好きな物の話題になったためか、先程までの緊張はどこかに行ってしまったかの様に、彼女も自らの事を話だす。

何か違和感の様な物を感じた気がしたが、彼女の口から一番に出るのは、やはり自分の好きな物の事だった。


「うん、もちろん知っているよ。だって僕は湖が大好きな者にしか感じてもらえないんだ」

「そうなんですか?」

「星はね、その時訪れている場所で、1人だけ意思を通じ合わせる事ができるんだ。

しかも、その1人というのは星からは選べなくて、同じ気持ちを持ち合わせた者が偶然その場所に現れた時だけなんだ。そして僕の前に現れてくれたのが君だったのさ。」

「それが私ですと、、、」


甘菜の心は緊張に溢れ、頭がボーっとしていくのがわかった。


そして星は、甘菜が全く予想もしていなかった言葉を言ったのであった。





「君は僕に恋をしたのさ。」


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