――怪談会へ――

 しかし、俺が話題を見つけるよりも先に、羽切が「ところで……」と悪戯いたずらでも思いついた子供のような笑みを薄っすらと浮かべながら、俺たち三人へ順番に視線をわせてきた。


「先程も少しお話になりましたが、皆さんは怪談のようなものに抵抗はないのでしょうか?」


 どこか嬉しそうなニュアンスで告げてくる羽切の声からは、こちらの返答にあからさまな期待をしているのがありありと伝わってくる。


「そうですね。そんな嫌いとかってわけではないですけど。すれば普通に盛り上がるみたいな、そんな感じです」


 代表するように俺が答えると、他の二人も躊躇ためらいがちに小さく頷いた。


「まぁ! それなら、どうでしょう? 少し私の怪談話にお付き合いくださいませんか? もちろん、皆さんもお話してくださるなら嬉しいですけれど」


 こちらの言葉を受けてパッと表情に花を咲かせた羽切は、そそくさと居住まいを正すと改めて俺たちを一瞥する。


「ちょっとした怪談会みたいなものです。私、小さい頃から恐い話というのが好きでして。お客さんが来るとよくお付き合いいただいてるんですよ」

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