――怪談会へ――
「はぁ……そうなんですか」
もはや恐い話ができると決定したように嬉しそうな表情で語る羽切へ、俺も嫌ですと告げる選択肢を奪われた心地にされてしまい、つい流されるようにして頷いてしまった。
「良いんじゃない? 外の暗いとこでやるわけじゃないし、どうせやることもないんだしさ。あたしも、実はいくつか恐い話知ってるんだよね。ほとんど周りから聞いたりネットで読んだネタだけど。あ、大して恐くなくても良いなら少しだけ実話もあるよ」
こうして落ち着ける場所にありつけたことで余裕ができたのだろう戸波も、俺たち三人の中では一番乗り気な態度で怪談会へ賛同する。
「マジかよ。茜に霊体験あるなんて聞いてねーぞ」
「いやホントつまんない話だから。言うほどでもないなって思って。せっかくだし、一番手で話そうか? 前座には丁度いいレベルだろうし」
渋沢の意外そうな声にまんざらでもなさそうに返して、戸波は判断を窺うように羽切を見た。
「良いですね! 是非皆さんもお話があるならお聞かせください」
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