――怪談会へ――

 隣の台所を気にしながらコソコソと囁く戸波に、俺は「それはないだろ」と小さく頭を振って答えた。


「断言はできないけど、たぶんここ集落とかでもない感じだし。そんな場所にわざわざ販売車が来るかな? 時間とか売り上げの効率考えたら、ないと思う。まぁ、あの人が毎回万単位で買い物してる上客なら、ひょっとする可能性はあるけど」


「でもよ、ここスマホ電波届いてないぜ? この部屋も……固定電話見当たらねぇし。そっちにあんのかな?」


 自分のスマホをいじりつつ、部屋の中を再度確かめるように見渡す渋沢は、どうにも納得がいかないように首を傾げる。


「台所とかにあるのかもしれないだろ。さすがに、電話も無しで生活できるわけないだろうし。じゃなきゃ、定期的に知り合いとか親戚が買い物に迎えに来るとかか。よくわからないけど、不便な暮らしをしてるのは間違いなさそうだな」


「うん。あたしなら絶対に住めない。二日で飽きるし、一回買い物出たらそのまま帰りたくなくなりそう」

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