第二話:最期は一緒に

「――そう言えば」


 離れて見失わないようにと、足早で女の側まで辿り着きそのまま一分ほど無言で足を動かしていると、不意に女が何かを思いだしたような声を漏らし、首だけで俺たちを振り返った。


「先程、何やら怪談話をされてらしたようですが、皆さんはそういったものに興味がおありなのですか?」


「え? いや、興味があるというか……まぁ人並みには、くらいですかね。こいつが何か、知り合いから聞かされた話があるって、勝手に話しだしただけでしたし」


 苦笑するように答えつつ、俺はすぐ後ろをついてきている渋沢を親指で示す。


「ああ、そうでしたか。こんな所で長く暮らしていると、たまにですが皆さんのように道に迷って偶然家を訪ねて来られる方もおりまして。そういう方々から、恐い話を聞かせてもらうことが何故かよくあるんですよ。山へ登られる方というのは、そういったジャンルのものがお好きな方が多いのかと気になっていたんです」


「あー……確かに、山でこんな体験したとか、そういうのよく聞きますもんね。でも、わかんないですよ? 面白がって作り話をしてるだけかもしれないし、ただの噂を実話みたいに広めてたりする人もいますから」

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