第一話:海にいた影
だけど、すぐにそうじゃないって気づいたんだ。
その人影さ、海の中にこう……立ってるような感じで垂直に浮かんでたんだけど、普通その状態から動くには普通に泳ぐか足で漕ぐような動きをしなきゃまともに移動なんてできないだろ?
仮に足がつくくらいの水深だったとしても、水中を歩くわけだから身体は左右に揺れたりするじゃん?
でもそいつ、そういったモーションが一切なかったんだよ。
まるで真っ黒い立体映像をそのままスライドさせたみたいな滑らかな動きで、スー……ッて僕のいる方向に近づいてきたもんだから、もう一瞬にして恐くなってさ。
逃げようと思って慌てて走りだしたんだけど、その途中で振り向いたらそいつ、砂浜の上も同じように移動してて……しかも、下半身がなかったんだ。
腹から上の上半身だけしかない影が、棒立ち状態の姿勢で迫って来てて。
しかも僕よりも全然速いし、マジで追いつかれるってパニックになりかけた瞬間に、すぐ近くから従兄弟の声が聞こえてきて懐中電灯の明かりが見えたから、僕も即座に大声で助け求めてさ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます