第一話:海にいた影
海に行って花火をやろうって話になって、先に僕だけが砂浜へ向かったんだ。
自分の家にいたら、海で花火なんてできないしさ。浮かれてたんだよね。
それで一人で海に行って、従兄弟たちが来るのを待ってたんだ。
確か……九時半は過ぎてたかな。大体それくらいの時間帯で、海辺には他に誰の姿もなくて僕一人の貸し切りみたいな気分になってさ、余計テンションが上がって一人砂浜走ったりなんかしながらはしゃいでたりしたんだ。
空は晴れてて、しかも満月が近かったから月明かりが幻想的に綺麗でさ、夢の中にいるような気分だったよ。
……“あれ”を見ちゃう瞬間までは。
従兄弟たちを待ちながら一人で遊んでるときに、何気なく海の方を見たんだ。
そしたら、いつの間にか海の中に人が立ってるのに気がついて、あれ? って思ったわけ。
さっきまでは確かに自分一人しかいなかったはずなのに、どうしてあんな所に人がいるんだろうって。
夜に海水浴なんて危なくないのかなとか、ひょっとしたら僕が確認したときはたまたま潜ってて気づかなかっただけかもしれないなとか。
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