___混沌の微睡み___
・山田太郎
いつも雪が降ると、ふと思う事がある。
白い雪のように世界は本当は白いのではないかと。
誰もが絆や友情や仲間を信じるように、人は捨てたものじゃないと希望を持って
支え合い笑い合う、そんな白い世界。
だが俺は黒い世界も知っている。
諍い 争い 競い 戦争 飢餓 政治家や警察の不正、汚職 性の乱れ 人種問題 友の裏切り 親戚同士の醜い喧嘩。
「歴史は繰り返す」という言葉があるように人間は学ばず、同じ事を永遠繰り返す
混沌の輪廻。
信じていた事が裏切られ、期待していた事がまた裏切られ
希望を抱けば絶望を与え心を殺す。そんな黒き世界。
そんな二つの世界を知っているが故に、俺は世界が灰色だと思うのだ。
だからこそ白い雪を見れば、その美しさに惹かれ世界が白い世界だと願わずには
いられないのかもしれない。
白とも黒ともはっきりとしない混沌とした世界でそんな事を願っても、触れれば溶ける雪のように手にした願いも、想いも水蒸気のように消え失せる。
後に残るのは虚無感だけだ。
そして悟るのだ。虚無こそが素晴らしい友人であると。
___今日もまた虚無の世界を生きて行く。___
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます