第5話迷子とお兄様
部屋を飛び出し、しばらく走ってハッとする。
食堂ってどこ!?
キョロキョロと周りを見るが...
ここどこ...。
いつの間にかティルも居ないし。自分の家で迷子になるとか、悲しすぎる。でも、この屋敷広すぎるんだよー。通っただけで、10個以上は部屋あったからね!?
「うわー。マジでここどこ?」
公爵令嬢らしからぬ声を出す。
ちなみにメラエルは、公爵家の令嬢でその権力を使ってヒロインをいじめてたんだよねー。
「メラ?」
そんなことを考えていると後ろで声がした。
振り返るとチョー美形男子が立っていた。
もしかしてこの子...
「ルークお兄様?」
そう、後ろに立っていたのはフラード公爵家の長男、ルーバルク・フラード(愛称ルーク)だった。私と同じ漆黒の髪色に金色を薄めたような色の目。もちろん、この男も攻略対象者で、私を溺愛しているうちの1人だ。
ここで、ルーバルクルートを思い出してみる。
ルーバルクルートの場合、妹の我が儘に疲れていたルーバルク(お前のせいでもあるぞ。)をヒロインが癒して、愛を育んでいく。それが気に入らなかったメラエルはヒロインをいじめる。ハッピーエンドなら、2人は結ばれてメラエルは毒殺される。バットエンドなら、メラエルがヒロインを殺そうとするが、その計画がルーバルクにバレて怒りのあまりメラエルを殺してしまう。ヒロインを虐めたとはいえ昔は可愛がっていた妹を殺したルーバルクは悲しみにくれ自殺してしまうという最悪のバットエンドなのだ。
ちょっと!ルーバルクちょーいい子なんですけど!?
大丈夫ですよ、お兄様!自殺なんてさせません!
「なんで、メラがこんなところにいるんだ?」
は!いけない。私、迷子だったんだ!...でも、正直に言ったらおかしがられるかな?広い屋敷とはいえ自分の家で迷うなんておかしいよね?
「え、えっとー。」
私が言葉を濁していると、お兄様がひらめいたように口を開いた。
「もしかして、僕を迎えにきてくれたのかい?」
違うけど...お兄様のキラキラした目を見たら違うなんて言えない!
「そ、そうですわ、お兄様。さ、行きましょう?」
そう言って、お兄様に手を差し出すと、ニコッと効果音がつきそうな笑顔で手を握り返してくれた。
は、破壊力が凄まじい...
「行こうか。」
そう言って、私とお兄様は歩き出す。のは、いいんだけど、歩幅が違い過ぎてお兄様に引きずられるように歩いて、途中でお兄様に抱っこされました!
最高!!でも、私いつかこの人に断罪されるんだよね〜。そうならないように頑張らないと!
ていうか、迷子になってお兄様に会えるとかマジ、ラッキー!
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