第4話ティルに謝罪
破滅エンドしか、存在しない悪役令嬢。
ヒロインがどのルートに入っても、なにかと理由をつけて邪魔してくる働き者なのだが、その努力は報われず最終的に死ぬという残念令嬢なのだ。
髪の毛を手ですくうと漆黒の黒色が見えた。
いやー、悪役令嬢かー。運が無かったなぁー。
って!そういう問題じゃない!転生先ってゼルベル様が決めたんだよね!?てことは、これはゼルベル様が仕組んだってこと!?なんて、悪質な嫌がらせ...。これじゃあ文句言わないと気が済まないわ!
「あ、あの?お嬢様?」
「あ、はい?」
ブツブツと、呟き始めた私をメイドらしき人が心配そうに声をかけてくる。
ていうか、この子名前なんだっけ?確か、メラエルの専属メイドの.....
「ティル?」
うん。確かそうだったような気がする。試しに呼んでみたけど、この子反応したもん。
しかし、私に名前を呼ばれたティルの目には驚きが浮かんでいた。
あ、あれ?なんで、驚いてんの?名前間違えたかな?
「お、お嬢様...。」
「ん?」
「い、今、私の名前を...」
あー、そっちね。
確かにメラエルはメイドとかのことを自分の所有物だと思ってたから、名前なんかで呼ばずにあんたとか、お前って呼んでたもんね。
ティルよ。私じゃないけどいろいろメラエルがすまん。代わりに謝っとくよ。
でも、ティルは最終的にヒロイン側に寝返ってヒロイン達と私を断罪するんだよね。自業自得だけどね〜。
「あー。えっとー。
まず、ティル。今までのことを謝らせてほしいの。
ごめんなさい。」
そう言って、私は頭を下げた。
「え!?」
頭上でティルの驚いたような声が聞こえる。そっと、頭を上げてみるとティルが目を見開いて固まっていた。
ふふ。可愛い。
「それで、この謝罪を受け入れてくれるかしら?もちろん、受け入れなくてもいいわ。」
そう言って、私はもう一回頭を下げた。だって、私のせいでティルが苦労していたんだもの。
「あ、いえ!あの!お嬢様が謝るようなことではありません。なので、頭を上げて下さい!」
「いやよ。ティルが許してくれるまで頭を上げないわ!」
さあ、どっちが先に折れるかしら?まぁ。私は折れる気ないけどね。
しばらく待つと頭上ではぁとため息をつく音が聞こえた。
「分かりました。お嬢様の謝罪を受け入れます。なので、顔を上げて下さい。」
「ありがとうティル!!
それじゃあ、ご飯食べに行こっか!」
そう言って、私は部屋を飛び出した。
「ま、待ってください〜!お嬢様〜!」
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