幕間
〜幕間〜〈戦う男と待つ女〉
「いやぁ〜。今頃フォルテはシスケラ様と一緒に『友好会』かぁ〜。羨ましいなぁ〜」
オリュンシア王国から少し離れた場所にある農村の見える草陰にて、銃を持つ金髪の青年がそう呟く。
「何が羨ましいんだよベール。ただのお茶会のお供だぜ?だったら農村の人たちを助けるっていう俺たちの任務の方が何倍もやりがいがあるじゃねぇか」
そう金髪の青年「ベール・オリュオ」の横で話すのはレアス・ヘーレー。彼らは第二王女直属騎士団に所属しており、今はその任務中だ。
「いや、そのお茶会のお供が羨ましいんだよ。死ぬ危険性が無いじゃん。それに対して、僕らは決まった周期で農村を襲う魔物の退治だよ?『決まった周期』で襲ってくるとか、絶対知性あるじゃぁ〜ん。怖いよ〜」
ベールは極度の怖がり、というかただ死にたくないだけなのだが、危険がある任務を嫌がる。ならばなぜ危険と隣り合わせである騎士団に入ったんだと聞くと、『カッコよく見えるし、お金いっぱいもらえるじゃん』とのことだ。
「まあ、ベールからしたら羨ましいかもな。俺は全然だ。だってフォルテのやつ、ずっと任務内容を隠していたからどんな任務なんだと思って嫉妬してたのに、蓋を開けてみればお茶会って……。誘われなくて良かったぜ」
レアスたちはフォルテの任務内容を先ほど聞かされた。いざずっと隠されていた内容を聞いてみれば、なんだ全く面白くねぇじゃん、と思ったレアスは気分が晴れた状態で今の任務に取り掛かることが出来た。
「おーいお前ら!お待ちかねの魔物さんだぜ!俺たち前衛が一気に畳みかけるから、援護よろしくな!」
レアスとベールが話していると、他の騎士が割り込んできた。どうやら、ターゲットである魔物が現れたらしい。
「よっしゃ、任せろ!」
「はいはーい。絶対にこっちに来させないようにしないと」
レアスたちは魔物をしっかり認識し、
「よし。総員、突撃だ!」
「「「うっす!!!」」」
1人の騎士の号令で、戦闘が開始される。
*****
時を同じくして、レアスたちがお世話になっている孤児院。そこで1人の女が黄昏ていた。
「はぁぁぁ。フォルテ、あの女と何してるんだろう?なんで何も教えてくれなかったの?ま、まさかあんなコトやそんなコトをするつもり!?ゆ、許せないわシスケラ〜」
黄昏ているというか、興奮していた。そんな彼女、セーラ・オネイスを、彼女の母親同然であるマザーレイスが隣で宥める。
「まあまあ落ち着いて。誰にも言えない任務って言っていたでしょ?レアスすら聞かされなかったんだから。わざわざネガティブに想像を膨らませることはないわよ。貴女は、いつも通り、ただ彼の帰りを待っていればいいの」
そんなマザーレイスの言葉を聞き、セーラは満面の笑みになる。
「そ、そうよね!フォルテが帰ってくる場所はココだけなんだもの!ついでにレアスも。だから、アタシたちが笑顔で待ってあげないとね!」
任務が終われば、彼らは必ずココに帰ってくる。その事実を思い出し、セーラは元気を取り戻した。そんな彼女は、笑顔でフォルテたちの帰りを待つことにするのだった。
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