第75話 義兄妹の親友


 ギルドに入った俺たちを見て、すぐに職員がギルドマスターであるサードさんの部屋まで通してくれた。


「ご足労感謝するよ。まずはこれを君たちに渡したい」


 サードさんは三枚の冒険者カードを机に並べる。


「君たちの新しい冒険者カードだ。セカン王国での魔王軍幹部討伐によりランクが上がることが冒険者協会の方で決まった。おめでとう君たち三人は今日からSランク冒険者だ」


 俺たちはサードさんから冒険者カードを受け取る。カードはこれまでのと違い枠が金色になっていて一目で違いが分かるようになっている。


「もしかしてセカン王国のギルドマスターの手紙って……」


「考えている通り。君たちの冒険者ランクを上げてほしいということも書いてあったよ。Sランクに上げるにはギルドマスター数人の賛同が必要だからね。それと……どうやら来たみたいだ」


 扉がたたかれる音がすると、サードさんはすぐに「どうぞ」と声をかける。


「失礼します。王城より、勇者様方の案内をしにまいりました」


 部屋に入ってきたのは高価そうな装飾の鎧をつけた騎士数人。


「あぁ、こちらにいる三人が勇者様とその家族だ。さて、お三方。彼らに案内してもらえばこの国に召喚された勇者さまたちに会えるます」


 騎士たちは俺たちの方に向かって歩いてくる。


「サードさん。ありがとうございました。昨日の今日でここまでよくしてもらって」


「いやいや。世界を救う勇者さまたちのためだからね。それに、セカン王国のギルドマスターとは個人的にも仲が良いんだ。君たちが彼と彼が大切にしている人たちを助けてくれたことも手紙には書いてあった。それだけで僕が君たちを手助けする理由には十分さ。どうか、世界を頼むよ」


 俺はサードさんと握手を交わし、俺たちは騎士たちに先導され王城へと向かった。



 ___________


 俺たちは騎士たちと共に王城に着き、現在巨大な扉の前に居る。


「この先で王と勇者様一行が待っております。どうぞお進みください」


 騎士たちに扉を開けてもらい、俺たちは扉の先に向かって歩いた。


「ようこそ。星空殿。わたしはこの国の王サドラ=トライドと申します」


 そうあいさつをしてくるのは、俺たちの目の前にいる豪華な玉座に座る白髪で穏やかそうな男の人だ。


 俺たちも名乗ろうとすると、それより先に横から声がかかる。


「冷夜?冷夜じゃないか!」


「……お前、陽太か?なんでこんなところに」


 入った時は見えなかったが、横には数人の黒髪の男女がいる。

 そしてその中で俺に話しかけたのは日野陽太ひのようた。テニス部員にして俺の唯一の友達、親友だ。


「兄さん、知り合いですか?」


 俺がいきなりの再開に驚いていると、王の前だからと帽子を取った月奈が横に立つ。


「あぁ、あいつは……」


「月奈?」


 俺が陽太を紹介する前に陽太の後ろから声が。

 月奈は自分が呼ばれ驚くも、陽太の後ろから顔を見せた女子を見ると、さらに驚いた表情になる。


「青羽!どうしてあなたが?」


 どうやら月奈の友達もいたらしい。


 ゆっくりと話したいところだが、王様や姉さんを放っておくわけにはいかない。


「お互い話したいことは色々とあるが、とりあえず今は話すべきことを話そう」


 俺たちは勇者が神装を手に入れる手伝いをしに来たことを伝える。


「なるほど。神装……。心当たりはあるので探ってみましょう」


「ありがとうございます」


 俺たちは神装のことをサドラさんに任せて、俺たちは別室で話し合いをすることにした。





 ___________



 別室に移動した俺たち、なお陽太と青羽さん以外は俺たちと面識がなく、勇者でないということで一緒にはいない。


「とりあえず自己紹介するか。俺は星空冷夜。月奈の義兄あにで、こっちにいるカグラ姉さん義弟おとうとだ。よろしく」


 俺は主に初めましてな青羽さんに向けて自己紹介をした。


「では次は私が。私は星空月奈です。冷夜兄さんとカグラ姉さんの義妹です。よろしくお願いします」


 月奈も俺と同じように面識のない陽太に向けての自己紹介だ。


「二人の次ならわたしだね。わたしは星空カグラ。こっちの子はフィートとフク。わたしはみんなとは違う世界からこの世界に来たんだ。この世界で冷夜くんと月奈ちゃんに出会って、二人に助けられて、義姉兄妹きょうだいになったんだ」


 陽太と青羽さんは、姉さんの言葉やフィートとフクに興味深々らしい。

 ただそれは後回しにしてもらおう。


「陽太、次はお前だ」


「あぁ、了解。俺は日野陽太。テニス部所属で、冷夜の親友だ。よろしくな」


 陽太は簡単に簡潔な自己紹介をしてくれる。


「では最後は私ですね。上空青羽うえそらあおばです。月奈の親友で、テニス部でマネージャーをしています。よろしくお願いしますね」


 青羽さんの自己紹介も終わり、本題の話に移ることにする。


「色々と話したいことはあるが、まずは俺と陽太の関係せいから説明するか」


「そうだな。どこから話す?」


 俺と陽太は、他の三人に出会いから話すことにする。

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