第47話 神装の試練の③
第2の試練は、7問8問9問と時に悩み、時に話し合い、時に
そして、10問目。
【問10
あなたは魔王軍の最高幹部を追い詰めた。
だがその魔王幹部は逃げ出した、それを追えば確実にとどめがさせるが、その幹部は魔物を放ち、その魔物は近い場所にいた小さな子どもを襲おうとしている。
この時、取るべき行動は?
○…幹部を倒しに追いかける。
☓…幹部を逃がすことになるがこどもを助ける。】
「これは、……」
この問題を読んでから、しばらくの沈黙が続いた。
そんな沈黙を最初に破ったのは光太だった。
「あの、魔女様。魔王軍の最高幹部とはどれくらい重要なんでしょうか?」
そんな質問に師匠が返したのは沈黙をさらに悪化させるものだった。
「そうだな。……魔王軍幹部、その一番上だからね。一説には倒すのに、勇者、ああ今の勇者くん以上の強さを持つ勇者が5人以上力を合わせて何とか倒したらしいよ。だから、もし倒せるチャンスがあるなら確実にそのチャンスを逃すべきではないね」
ズーン…。今のこの雰囲気を表すならこれしかないだろう。
先ほどより空気の思くなったこの空間を壊したのは、
「ああぁぁ!!!!!!!!」
脳筋もとい元だった。
「ああ!もうこんな空気耐えられねぇ!こんなもん×だろ!そうに決まってる!」
そんな元の言葉に「そうだよな」、「子どもは見捨てられないよね」と、肯定する声がちらほらと聞こえる。
「光太!みんなこう言ってんだ!×でいいだろ?」
と元は光太に迫る。
「あぁ…。そう、だな…」
だが、光太は腑に落ちないらしく元に返事をしながら俺の方をチラチラと見てくる。
「あの、兄さん。霧崎さん困ってますよね?」
月奈も光太の視線に気づいたのか、小声で俺に言う。
「そうだな。…ちなみに、月奈はこの問題どう思う?」
「う~ん。そうですねぇ…。私は、子どもを助けたいと思います」
だよな。ふつうに考えればそうなる。
だが、月奈は「でも…」と、言葉を続ける。
「最高幹部がエスタリアさんが言ったとおりの強さなら、それを逃してしまうのもダメだと思うんです。だから、私は、……両方選びたいです!」
月奈は迷いながらも、まっすぐした目で答えてくる。
だが、その答えに驚いて俺がしばらく固まっていると月奈は不安そうに、
「あの、やっぱりダメですかね?」
と聞いてくる。
俺はそんな月奈の頭をなでる。
「いや、最高の答えだと思うぞ。だから、」
それを伝えてくる、と光太のたちのもとへ歩く。
「光太、もういいだろ?」
「いや、でもね……。あ、冷夜くん!」
光太は地近づく俺に気づき期待の目を向けてくる。
…やめてくれ。そんな目を俺に向けられても
「ん?どうかしたか後輩?」
…なるほど学校の後輩だからそういう呼び方なのか。
そんなどうでもいいことを考えなければ、こんな大勢の先輩の前で意見をいうなんてとても出来そうにない。
俺は一度深呼吸をして口を開く。
「はい。俺はこの問題、×じゃないと思います」
そんな俺の言葉に先輩たちはざわつく。
「それは、子どもを見捨ててでも、敵を倒そうっていうことか?」
つまり〇なのか?と、元はこぶしを握りしめながら我慢するように聞いてくる。
「いいえ。〇でもないと思います」
「なら、どっちなんだよ!?」
元は俺の襟をつかむ。
「おい、元!?」
光太が止めようとするが、俺はそれを手でストップをかけ、襟をつかまれたまま、元を見て話す。
「そのままですよ、〇でもない。×でもない。俺が思う、ここでの一番の
答えは子どもも助けて、幹部も倒す。これが俺の答えです!」
俺の答えに、先輩たちは唖然とする。
そんな中、
「く、ははは!そっか。なるほどね。ありがとう冷夜くん。胸のつっかえが取れたよ」
光太は先ほどまでの殺伐とした空気をぶち壊すほど笑う。
「いやあ~。笑ったよ。さすがだね冷夜くん。そんな答えを出すなんて」
「いや。この答えを先にだしたのは俺の
俺の言葉に反応し、先輩たちは月奈を見る。
すると月奈はすぐに師匠の後ろに隠れる。
その行動に先輩たちは、「かわいい~」とか「あの子、すげえ可愛くないか?」と騒ぐ。
とりあえず、男の先輩には全力の『威圧』をかけておいた。
「それで、冷夜くん。その答えが出たのはいいいけど、どの道を進もうか?」
確かに、道は〇と×。二つしかない。
だがどちらの道にも進む気はない。ならあとは…。
「作るしかないだろ、第三の道を」
俺は爆裂石を取り出し、分かれ道の中心の壁に向かって投げ、月奈を連れて師匠と共にすぐに離れる。
「え、ちょっ、まって!」
「みんな、逃げろ!」
そして先輩が逃げようとした瞬間、
ドカンッ
という音とともに壁を破壊する。
「あ、あぶねえだろ!後輩!」
「冷夜くん。せめて一声かけてよ…」
と、先輩たちの批判を受けながらも俺は破壊した壁を見る。
「うん。完璧だな。爆破も、答えも」
破壊した壁の先には、新たな道があった。
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