第43話 義兄妹と剣の勇者の神装入手会議

 部屋にて師匠の昔話を聞いていると、コンコンと、ノックされる音がし,


「失礼いたします。勇者様の準備が整いました。どうぞこちらに」


 またしてもメイドさんに連れられ別の部屋へと移動する。


「勇者様、失礼いたします」


 メイドさんにドアを開けてもらい部屋の中へ入る。


「やあ、冷夜くん。武闘会ぶりだね」


 中には勇者である光太と武闘会で戦った三人。元、結目、高付がいた。


 俺は手を上げながら言ってくる光太に頷く。


「そちらの人は?」


 光太は師匠を見ながら言う。


 そういえば初対面だったか。


 師匠は一歩前に出る。


「はじめまして、勇者様。私は『漆黒の魔女』エスタリア。こっちの二人の師匠、先生をやっている。ちなみにこの黒髪は私の先祖が勇者でねその影響なんだ」


 さすがというか、なんというか。師匠は相手が勇者にもかかわらず、軽い態度で自己紹介をする。


「なるほど。あ、僕は勇者の霧崎光太です。こっちが仲間の――」


 光太が紹介を始めたのでそれに伴い、先ほどから声が聞こえる窓の外を見ると、何人かの騎士ではなさそうな同年代くらいの人たちが訓練しているのが見える。


「冷夜くん。どうかしたかい?」


 紹介は終わったらしい。

 俺は窓から目を離し光太を見る。


「勇者の関係者、…というかあっちの世界の人はここにいるだけなのかと思ってな」


 俺の質問の意味を理解したのか、光太は口を開く。


「そうだね…。僕らのほかには7,8人くらいいるかな」


 思ったより少ないな。


「学校終わってからすぐに部活にいった人が多かったからね。僕はたまたま部活が休みで教室にのこってたから。…そういえば僕らちゃんと自己紹介してなかったね」


 言われてみれば、武闘会のときに少ししゃべっただけだしな。


「なら、俺から話すよ。あらためて、俺は星空冷夜。高校二年生だ。で、こっちは義妹の…」


「星空月奈、高校一年生です」


 月奈は俺の手を握りながら自己紹介をする。


「やっぱり同じ学校だったんだね。僕もあらためて、僕は霧崎光太。三年生で剣道部の部長をやっていたんだ」


「年上だったんだな。……話し方、変えたほうがいいですか?」


「いや、いいよ。君のラフな感じのしゃべり方僕は好きだからね」


「そうか?なら遠慮なく」


 と、そんな感じで自己紹介を終えると、またしてもドアがたたかれメイドさんが入ってくる。


「失礼いたします。魔女様ご指名の物をお持ちいたしました」


 メイドさんは、手に持っている巻物や本をテーブルに置く。


「師匠、頼んでいた物って?」


「君たちが勇者くんたちに話そうとしていることに関することだよ」


 つまりは、神装に関するものか。


「えっと、話ってなにかな?」


「…少し長くなるけど。この世界と、お前たちに関する重要なことだ聞いてくれ」


 俺が神装や勇者、邪神などの天に聞いたことを光太たちに話している間にも、メイドさんと師匠、月奈が資料を整理する。


「なるほどね。僕たちも神様からいくつか聞いていたけど、神装かぁ」


 光太は自分の手を閉じたり開いたりする。


「それさえあれば、君と戦った時みたいに武器が壊れて戦えなくなることもなくなるかな」


「そのはずだ。それで、どうなんですか?」


 俺は師匠を見る。


「う~ん。見たところこれかな?」


 師匠は数ある中でもかなり古そうな本とこの国の地図を広げる。


「前二人には話したけど伝説の話、それによると歴代の勇者たちは各地に神装を封印した。そしてこの本にはその封印地が書かれている」


「それがここだ」と、師匠は地図を指さす。


 それはこの国からわりと近い、遺跡のような場所だった。


「さて、どうする?」


 師匠は楽しそうに聞いてくる。


「それはもちろん、」


「うん。やろう!」


 俺と光太は神装を手に入れることを即断した。





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