第39話 義兄妹VS剣の勇者②
俺は、師匠の特訓と、月奈のおかげでなんとか、『天光剣』を防ぐことが出来た。
その代わりに、体力と剣が失われてしまったが……。
「兄さん、少しそのままで。『オーバーヒール』」
月奈が回復魔法を使い、その光が俺を癒やしてくれる。
そして、腕輪から剣を取り出す。
これにはさすがの光太も驚いたように見ている。
だが、俺はそんなことを気にせず、回復した身体で剣を数回振り、光太に向ける。
「ありがとう月奈。…次は俺たちの番だ、行くぞ!」
俺は、光太達に向かって走る。
「兄さん掩護します!『シャイニングバレット』」
俺の、後方から無数の光弾が光太に襲いかかる。
「え、ちょっとまって、……力よ魔法を拒め『結界』!」
結目さんは早口で演唱をし結界を造り、光弾を防ぐ。
だが、即興で作った結界だったからか、結界にヒビが入る。
「うそ、どうしよう!」
うろたえる結目さんの隣から一つの影が走り出す。
「ようやく、俺の出番だな!」
嬉々としながら走り出したのは、ナックルを装備した黒鉄元だ。
走ってくる元のことは気になるが、今は結界を壊すのが先だと、俺は剣を振るう。
そして、パリンッと心地よい音と共に結界が割れる。
だが、その間剣を振った俺は無防備である。
そんなスキを見逃してくれる訳はなく。
「いくぜ!はぁっ!!」
元の拳が俺に襲いかかる。
「ぐっ!?お、重い!」
俺は、なんとか両手をクロスして防御したが、腕が痺れてしまい、元の拳に押され数歩下がる。
「まだ、まだぁ!うぉぉ!!」
元は下がる俺に追撃を繰り出してくる。
さすがに、まずい!と、思った瞬間。
「『ホーリーバリア』」
突如として光の障壁が現れる。
そして障壁はガンッと、重い音を立てながらもきっちりと元の拳を防いでくれた。
この瞬間、こんな事をできるのはただ一人だ。
「サンキュー、月奈」
俺は、魔眼を発動させ杖を構えているであろう義妹に感謝を呟く。
「……ここは一度逃げだな」
俺は、腕の痺れや、接近されたままのこの状況が不利だと判断し月奈の障壁が残っている今のうちに月奈の元へ下がる。
「兄さん、どうしますか?」
月奈は、この状況をどう切り抜けるのかと期待の目で聞いてくる。
「やってみた感じだとあの結界、不意をつくか、火力でおせば何とかなると思う。だから……」
俺は月奈に作戦を伝える。
この作戦、正直ハイリスク、ハイリターン。うまく決まれば一気に勝利を決めることができるが、作戦後は俺も月奈もほとんど動けなくなり負けてしまう可能性がある。
そんな賭けをする作戦だが、月奈は……。
「やりましょう。危険な賭けだとしても、兄さんの考えなら信じられますから」
月奈は本当に迷いのない目で俺の作戦に頷いてくれる。
こうも信頼されては失敗するわけにはいかないな。
…正直、後ろで回復をしている光太がどう動くか不安ではあるが。
それでも、月奈と一緒ならどうにかなる。
そう思いながら俺は、
「よし。いくぞ!」
俺たちは、作戦を開始した。
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