第34話 義兄妹VS王国騎士団

『皆様おまたせしました。これより、本日最後の試合を始めます。双方準備はいいですか?』 


 司会者の言葉に俺と月奈、そして騎士たちが頷く。


『では、武闘会本戦第四回戦開始!!』


 試合開始のゴングがなる。

 それと同時に俺は腕輪から『爆裂石』と『風爆石』を取り出す。


「先手必、っ勝!!」


 二つの混合魔石に魔力を込めて騎士たちに投げつける。

 だが騎士たちは冷静に行動をする。


「全員、防御体制!」


 先程俺と喋っていた大剣を持つ騎士の指揮により、騎士たちは各々が武器を地面に突き立て、大盾を持つ騎士が混合魔石を受け止める。


 ドカンッ!!


 と、大きな音を立て混合魔石が爆発し、砂埃と強力な風が起こる。

 普通であればこれで終わりなんだが……。


「『シャイニングバレット』」


「兄さん危ない!『マジックバリア』」


 砂埃の中から光の魔力弾がいくつも襲ってくる。

 それを『魔眼』を発動させて感知した月奈が魔力障壁を展開させて防いでくれた。


「兄さん、無事ですか?」


「ああ、月奈のおかげでな、助かった。……やっぱりあれだけじゃ仕留められないか。ならっ!」


 俺はさらに混合魔石を取り出し魔力を込めて騎士に投げつける。

 だが、


「僕たちに同じ手は通じないよ、風だ!」


「はい、『ウィンド』」


 杖を持つ騎士が風魔法により、強力な風を起こす。

 それにより俺の混合魔石がこちらに返ってくる。


「なるほど。そうきたか」


「兄さん、感心してる場合じゃないですよ!『マジック、「待て、月奈」…え?」


 俺は月奈が魔法を使うのを止めて、腕輪から魔石の付いた黒い手袋を装着する。

 そして手袋に付与された魔法を発動させる。


「吹き飛べ!」


 俺は手袋から膨大な風を発生させる。

 それにより相手の風魔法により返ってきている混合魔石を別の方向へ吹き飛ばす。


 ドカンッ


「危なかったな。こいつがちゃんと機能してよかった」


 俺は手袋を眺めながらつぶやく。


「もう、兄さん。なんなんですかあれ?」


「へぇ~。面白いね、その手袋」


 月奈も騎士もどうやらこの手袋に感心があるらしい。

 この手袋は混合魔石ではなく、普通の魔石を使用している。

 その魔石には風を起こす魔法と、魔力を貯めるという能力を付与している。

 つまり、事前にこの手袋に魔力を貯めておくことにより、自分の魔力が空っぽでも風の魔法が使えるのだ。


 ……なんとか混合魔石返しを防ぐことは出来たが、このままだと混合魔石は使えないな。

 さて、どうする……。

 俺は『思考加速』を発動させながら、勝利への活路を探しはじめた。

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