第33話 義兄妹と騎士の戦い前

 俺が月奈の手を握りながら、騎士を見ていると騎士の一人がこちらに近づいてくる。

 そんな騎士に俺は警戒の姿勢をし、月奈を背中の後ろに隠す。


「えっと、いいかな?」


 騎士は優しく尋ねるように聞いてくる。


「……何でしょうか?」


 俺は警戒しつつも返答をする。それに何かを感じたのか、騎士はすこし口調を崩して話す。


「ああ、そう警戒しないでほしい。ちょっと試合前に挨拶をと思ってね」


「そうですか。……わざわざそんなことをするなんてさすがは騎士ですね」


 俺がそう返すと騎士はすこし困ったように頭をかく。……それ顔が隠れるような兜被ってるのに意味はあるのか?


「はは、そんなことないよ。……実を言うとね本当は俺たちはこの大会に出場するはずじゃなかったんだよ。本当は会場とかの警備するはずだったんだけど、王さまのせいでね……」


「随分と楽しい人なんですねこの国の王様は」


「そうだね。まぁ、そのせいで団長や副団長が苦労をしているんだけどね」


 そう言いながら騎士は観客席の上の方を見る。それにつられ俺も顔を動かすとそこにいるのは、ひげの似合うおじさん。


「兄さんあれ隠蔽、いえ、認識阻害でしょうか?その人の認識を変える魔法か魔道具を使ってますよ」


 後ろから、目を黄色く光らせた月奈が囁く。

 認識阻害。そんなものをわざわざ使い、騎士が目を向ける人となるとあの人は……。


「あの人が、この国の王様なのか」


 俺がその言葉をこぼす、すると騎士は楽しそうに声を出す。


「なるほど。さすがは『漆黒の魔女』様のお弟子さん。よくわかったね」


「まぁ、これだけヒントを出されたらわかりますよ」


「そうか、本当はこのまま戦うおうと思っていたけど……よし、すこし待っていてくれ」


 騎士は一度他の騎士の元に戻り何か話をする。そして一度どこかに行ってしまった。


 _______

 数分後


「すまない。またせてしまった」


 現れたのは先程のように全員同じ装備ではなく、大盾、大剣、杖、槍と、なぜ先程まで剣を装備していたのか分からない武器を持っている。


「その武器が、あなた方それぞれの本当の武器ですか?」


「ああ、王の許しを得れたからね。君たち相手には本気で戦わせてもらうよ」


 そう言いながらと、大剣を構える。


「わかりました。……いくぞ月奈」


「はい、兄さん!」


 義兄妹と騎士の戦いが始まる。

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