第32話 義兄妹の対戦相手
早速、勇者たちが力を見せ観客たちを大いに沸かせていた時、俺たちは冷静に勇者たちの力を分析していた。
「……月奈、あの攻撃どう思う?」
俺はあの光の剣、『天光剣』を思い浮かべながら月奈に問う。
「そうですね……。あれだけの大きさの剣を作ったのに、受けた相手にそこまで大きな怪我を無かったことを思うと、さっきの攻撃には魔力はあまりに込めずに外観だけ変えたものだと思います」
つまりは見た目だけデカいハリボテの剣だったということか。
「やっぱり、手加減してたよな」
「そう思います。ですが『天光剣』を解除した時に剣が壊れたのを見ると、あのスキルは『エクストラスキル』の可能性が高いですね」
私の『鑑定』も通用しませんでしたし、と月奈は付け足す。
そうしてああだこうだと、お互いの考えを話していると、横から頭を撫でられる。
「おい、二人とも!」
「っ!と、ビックリした。なんですか?師匠」
俺は素早く頭の上の手をどかす。すると師匠は残念そうにしながら次は月奈頭を撫でる。
「勇者の考察はいいけど、次、君たちの試合だよ」
「え、あ!いつの間に……」
「すこし話に熱中しすぎましたね……」
俺たちが肩を落とすと師匠は俺のと月奈の背中を軽く叩く。
「ほら落ち込むのも勇者のことも今は後で。まずら目の前に集中!」
そういう師匠に押し出される形で俺たちは舞台へと向う。
「「行ってきます!」」
「うん。行ってらしゃい!」
師匠の返事を背中に聞き俺たちは急いで舞台に向かった。
「……さてと、あいつら相手にあの子達はどんな戦いをしてくれるのか、楽しみだな」
師匠はそうつぶやき、舞台へと目を向けた。
―――――――――――――――――――――
『さぁ始まります!武闘会本戦第四戦。本日最後の戦いとなる選手、まず舞台に上がってきたのは「漆黒の魔女」の弟子、星空冷夜&星空月奈だ!』
わあぁぁぁ!!と、すごい観客の声を聞きながら俺たちは舞台へと上がる。
……まじでうるさいな。
「……月奈、大丈夫か?」
俺は月奈が大勢の人の前に立つのがあまり得ではないのを思い出し声をかける。
「…………ちょっとやばいかもです」
その言葉通り、月奈はフードを被っていてもわかるほど疲れた顔をしている。
早急にどうにかしなくては、と思い俺はとりあえず観客席に『爆裂石』を投げようかと真剣に悩んでいると、不意に袖を掴まれる。
「なので兄さん。すこし手を繋いでください」
「そんなことでいいのなら。はい」
俺はノータイムで月奈に手を差し出し、月奈は手を握る。
俺たちがそんなことをしている間に対戦相手は来たらしい。
『そして対するは鎧に身を包む彼ら、』
対戦相手は舞台上へと上がってくる。
ガシャン、ガシャンと、同じ音できれいに整列をし、みな同じような剣と鎧を持っている。
それはまるで統率の取れた軍隊のよう……。
『『ファスト王国騎士団』だ!!!』
わあぁぁぁぁぁぁ!!!
どうやら俺たちの相手はこの国の騎士団らしい。
……そんなのありかよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます