第19話 義兄妹と師匠と実力試し ラウンド2

「「ラウンド2?」」


「ああ、取り敢えずの二人の戦い方は分かったからね。次は二人のを見せてもらう」


「どういう事ですが?」


「簡単な話だ。二人には『エクストラスキル』を使ってもらうだけたよ。……冷夜」


 俺はエスタリアさんに呼ばれる。


「なんですか?」


「君はあれ以来、狂戦士バーサーカー使ってないよね」


 その言葉に俺は頷く。


「そうですね。試す時間が無かったって言うのもありますが。何より使えるか分からないので」


 あの時は、奴を倒す為に無我夢中で使っていた。そのせいであまり戦闘中の事を憶えていない。 


「なるほど。じゃあ、やってみようか!」


 エスタリアさんはそんな俺を見て、笑顔で言う。

 俺はそれに逆らえるはずもなく、頷く。


「……分かりました」


 意識を集中させる。


(集中、集中。俺の身体の心の、奥底にある物。力を開放させる)


「……『狂戦士バーサーカー』」


 そう呟くと、俺の体から黒い魔力が、俺を包むように薄く展開される。


「どうだい冷夜。感覚は?」


「特に変な感じはしませんけど……」

  

 俺は軽く動いてみるが多少動きがスムーズになっているのと、黒い魔力を纏ったくらいで、スキルを使う前とそう特別な変化はない。


「そうか。……聞いてた話とは違う気がするけど、どうかな月奈?」


「そうですね。黒い魔力の量も少ないですし、眼も紅く無いですし……あの時とは違いますね」


「つまり俺は『狂戦士』本来の力を出せていないと?」


 俺は黒い魔力を増やそうとするが、少し増えた気がするくらいで全然変わらない。


「まぁ、実戦あるのみ。取り敢えずやってみようか」


「「はい!!」」


 俺は剣を構え、月奈は『魔眼』を発動させて眼が黄色く光る。


「さぁ、ラウンド2。開始だ!」


 エスタリアさんの合図と同時に俺達は戦闘を開始する。





 ―――――――――――――――――――


「はぁ、はぁ、……」


「もう、魔力が……」


 俺達は、あれから何度もエスタリアさんに挑んでは、あしらわれ、攻撃を入れられ、魔法を打たれた。


「うん、十分だ。今日はこれで終わろうか」


「は、はい。分かりました…」


 月奈は魔眼を閉じる。


 俺も『狂戦士』を解除する。

 が……


「ぐ、うァァァァァァ!?!?!!」


 解除しようとしたはずが、逆に俺が纏っている黒い魔力が突然増加し、暴走する。


「兄さん!」


「つき、な……。グ、アァァァァ!!!」


(やばい、飲み込ま、れる…………)


 俺はそこで意識を落とした。




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