第18話 義兄妹と師匠の実力試し

 エスタリアさんと師弟関係を結んだ俺たち義兄妹は、念の為ということで一日休み今日から早速修行をつけてもらう。


「さて、まずは二人の実力を確かめようか」


 エスタリアさんは木刀で肩を叩く。


「二人共体の調子はどうだい?」


「問題ありません」


「私も大丈夫です」


「ステータスの確認は?ブラックドラゴンと戦ったんだし中々面白くなってたと思うけど」


 エスタリアさんに言われ俺たちは一度ステータスを開く。


 ――――――――――――――――――

 星空冷夜ほしぞられいや 種族︰人族


 スキル

 速読LV7 思考加速LV6  気配感知LV3


 隠密LV2 魔力感知LV3   錬金術LV2


 鍛冶LV2  念話LV1    風魔法LV3


 雷魔法LV2 魔力操作LV5  剣術LV2


 威圧LV3


 エクストラスキル

 狂戦士バーサーカーLV2  管理者の加護


 ――――――――――――――――――――


 俺は新たにスキル、剣術、威圧と、エクストラスキル、狂戦士を手に入れた。

 剣術はこの世界に来てからずっと剣を使っていたから、後者2つは間違いなく、ブラックドラゴンと戦った影響だろう。


 そして月奈は。


 ―――――――――――――――――――

 星空月奈ほしぞらつきな 種族︰人族


 スキル

 料理LV8   解体LV1   鑑定LV3


 念話LV2  炎魔法LV3   水魔法LV3


 風魔法LV2 雷魔法LV2  土魔法LV3


 光魔法LV6 闇魔法LV1  魔力操作LV6



 エクストラスキル

 魔眼LV2  管理者の加護


 ――――――――――――――――――――――


 月奈の場合は、光魔法の成長が大きい。

 さらにエクストラスキル魔眼を入手している。

 休んでいるときに、俺が倒れた後のことを聞いていたが実際に見せてもらうと、眼が黄色く光って凄く驚いた。


「さて、確認は出来たかな?」


「はい」


「私も確認しました」


 エスタリアさんは満足そうに頷き、俺に剣を投げ渡す。


「これは?」

 

「冷夜の武器はボロボロだったからね、それ使って」


「ありがとうございます。って、これでやり合うんですか?エスタリアさんは木剣なのに……」


 俺が貰った剣は鉄製のよく切れそうな剣、対するエスタリアさんは、なんの変哲もない木剣。


「大丈夫、大丈夫。さて、でかかっておいで」


 そう言った瞬間、僅かにエスタリアさんの雰囲気が変わる。


「なるほど。舐められてるわけでは、無さそうだな」


 俺は鞘から剣を抜く。


「私が援護するので兄さんは前衛、お願いします」


 月奈も杖を構え戦う準備をする。


「すぅー。――いくぞ!」


 俺は合図ともに走り出す。

 それと同時に月奈は杖を構え、魔法を放つ。


「『シャイニングバレット』」


 月奈は、複数の白い球体がエスタリアさんに向かって飛ぶ。


「中々いい速度だ。だが…」


 エスタリアさんはそれを、サラリと避ける。

 俺はそのスキをつき、剣を振る。が、


「―踏み込みが足りないな」


 エスタリアさんは木剣によりそれを、防ぐ。

 そして、


「剣ばかりに気を取られるな!」


 エスタリアさんは、剣を弾き俺に蹴りを放つ。


「っ!ぐ、げほっ、げほっ!」


 それをまともに受け膝をついてしまう。

 そこでさらに追撃がこようとした瞬間、光の雨が降り注ぐ。

 エスタリアさんはその魔法を避けるために一度後退する。


「兄さん!」


「サンキュー月奈。助かった」


 俺は立ち上がりエスタリアさんを見る。

 エスタリアさんは木剣で肩を叩き俺に向かって話す。


「冷夜、もっと色んなスキルを使ってかかっておいで。君になら出来るはずだ」


 もっとスキルを使うか。

 エスタリアの言葉を心で復唱しながら、自分のスキルを思い出す。

 そして、


「(月奈、聞こえるか?)」


「(兄さん!?なんでいきなり『念話』を?)」


 俺はスキル『念話』を使い月奈と話す。


「(ちょと、作戦を思いついた。『念話』はそれを聞かれないようにするためだ。それだな……)」


 俺は月奈に作戦を話していく。


「(なるほど。分かりました、それでいきましょう)」


 月奈は杖を構え直す。

 俺は剣を下ろし左手を前に向ける。


「よし、いくぞ!」


 俺は左手に魔力を貯め、


「はっあ!!」


 俺は魔法により風を起こす。

 だがその風は攻撃力の無い、ただの少し強い風だ。

 なので、それによって起こるのは大量の砂埃。


「ふむ、目くらましか」


 エスタリアさんは周りを見渡すが、どこを見ても砂埃が舞っている。


 そんな中、月奈は意識を集中させ魔力の流れを感知する。


(ブラックドラゴンと戦った後から魔力を強く感じれるようになりましたし、兄さんが言っていたので、いけるはず)


 月奈は更に集中をする。すると、薄っすらと月奈の眼が黄色く光る。そして、


「感知できた!『シャイニングバレット』」


 月奈は再び光の弾丸を放つ。


「目くらましをし、魔法を放つ。いい手だ。だが……」


 エスタリアさんはまるで『シャイニングバレット』が見ているかのように避ける。


「私も魔力の感知はそこそこ出来るので、ねっ!」


 エスタリアさんは木剣を強く振り、砂埃をかき消す。


「さて、次の手は……?」


 エスタリアさんは不思議そうに周りを見る。

 それもそのはず、エスタリアさんが見たのは杖を構えた月奈だけだったのだから。


(月奈だけ?冷夜はどこに?) 


 エスタリアさんの眼が一瞬金色に光る。

 すると、いきなり空を見上げる。


「空か!」


「正解です!」


 俺は現在降下中ながら声をだす。


「なるほど。砂埃も、月奈の魔法もおとりだったのか」


 そう、俺はまず風魔法により砂埃をおこし、

 月奈に、魔法を撃ってもらって時間を稼いでもらっている最中に魔力による『身体能力強化』、『風魔法』と、『マジックバリア』で足場を作りながら高くまで跳躍したのだ。

 ちなみにエスタリアさんが、俺をすぐに見つけられなかったのは『隠密』を使ったからだ。

 だが俺はそんなことを、答える代わりに、空から急降下し、剣を振るう。


「ハァァ!!」


 対するエスタリアさんは木剣を軽く構えてる。


「本当に、いい手だ。だが、まだ甘い」


 そう言った瞬間、エスタリアさんの姿が一瞬ブレたように見えた。

 だが、それも一瞬のことでエスタリアさんが動く気配は無い。


「はあっ!」


 俺の剣は確かにエスタリアさんに当たった。

 はずだが……


「すり抜けた…!?」


 そう、剣がエスタリアさんをすり抜けたのだ。

 いや、正確にはすり抜けたのでは無いかもしれない。

 何故なら、俺のすぐ隣でエスタリアさんは涼しそうな顔をしているのだから。


「なんで…!?」


 エスタリアさんは笑って答える。


「今のは、私の炎魔法『陽炎』私の本来の位置を少しズラして認識させる魔法さ」


「ズラして認識……。つまりは錯覚、ってことですか」


「その通りだ。さて、」 


 エスタリアさんは少し歩き、こちらを振り向く。


「ラウンド2。といこうか?」


 エスタリアさんは笑って木刀を構えた。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る